「1万人の第九」の経験談の本を書きました。そのプレビュー版です。「ゴスペル」のライブの体験談もあります。

「1万人の第九」の経験談の本を書きました。アマゾンのキンドルで8月11日に発売されます。そのプレビュー版です。

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人生100年時代を楽しむ 大人の歌の始め方 「1万人の第九」と「ゴスペルライフ」の感動の舞台へ行こう

目次
はじめに
歌が歌いたい
第一章 おとなの歌の始め方
私の歌の始め方
ボイストレーニング
高音域の歌い方
詩心を歌う
ロマンチックを歌う
第二章 1万人の第九を歌う
「万九」との出会い
応募と準備
レッスンが始まった
シラーの歌詞を理解する
「万九」の歌い方
オフ会の楽しみ
最後の追い込み
レッスンの打ち上げ
盛り上がる佐渡
盛り下がる全体リハーサル
不安なゲネプロ
さあ本番だ
ああ、「万九」最高!
第九ロスとDVD鑑賞会
第三章 ゴスペルを歌う
体験レッスン
ゴスペルってどんな歌
ゴスペルの歌詞はすごいぞ!
レッスンは楽しい
ゴスペルはライブだ!
ライブ後の打ち上げと反省
第四章 おとなの歌の楽しみ方
ミュージックバーで歌う
おわりに

====== プレビュー =====

レッスンが始まった

幸いなことに当選しました。参加費9300円を郵便局から振り込みます。これで12回のレッスン、佐渡連、全体リハーサル、本番まで参加できます(全体リハーサル以降は10回以上のレッスン参加実績が必要です)。

練習初日がやってきました。会場は築地の浜離宮朝日ホールの小ホールです。定員398人です。いったい何人で練習するんだろう。やるからには、前の方の席でしっかり声を出して先生の指導を受けようと思って、30分以上前に会場に行きました。

パート別に受付をして、レッスン参加証(各回のレッスンの出席の判をもらいます)を受け取り、楽譜とパート別の練習CDを購入します。

受付の人に、思わず「初めて参加するんですが、暗譜で歌うには相当な練習が必要なんですよねえ。」と聞くと、

「レッスンを受けたところを、練習CDを聞いてしっかり復習すれば大丈夫ですよ。」とのおことば。「そうか、復習か。練習CDを聞いて真似ればいいんだ。」と少し希望の光が見えました。

会場に入りました。ステージに向かって、左からアルト、バス、テノール、ソプラノのパート別に席に着くように区割りが示されています。正面の前から3列目の席に着きました。

早速楽譜を開いて、テノールの最高音を確認しました。それは「ラ」でした。おお、高い。私が裏声でなくしっかり声を出せるのは「ファ♯」までです。合唱団で歌っているのはせいぜい「ファ」までなのです。「ソ」と「ソ♯」は裏声気味、「ラ」はまともには出ないと言っていいです。ハラをくくって練習するしかないなあ。試験をされて「ラ」が出ない人はお帰りください、なんてことはないだろうなあと思いつつ、「ラ」をどうだすかはプロの声楽の先生が丁寧に指導してくださるんだろうと思うことにしました。

ちなみにソプラノの最高音は「シ♭」です。これも普通の人には結構きついようです。

バスはヘ音記号で譜面は書いてありますが、テノールと同じ音域で歌って最高音は「ファ」です。決して低い音域とは言えません。

だんだんメンバーが入ってきました。となりのソプラノパートを見ると子供連れのお母さんが何組もいます。男の子も女の子もお母さんと一緒にソプラノを歌うのです。しかもドイツ語で。アルトパートにも親子連れを見かけます。テノールパートにはお父さんに連れられた男の子を見かけます。中学生と小学生の兄弟らしき子供たちもいます。

レッスン開始時刻が近づきました。会場を見渡すと6-7割ぐらいの席が埋まってきました。全体で260人ぐらいと思います。

人数的には アルト>ソプラノ>バス>テノール の感じです。100+90+40+30=260と言った印象です。女性陣が7割を超える多数派です。お子様は10名程度でしょうか。

先生が伴奏のピアニストと一緒に入ってきました。合唱指導は下村郁哉先生、ピアノ伴奏は澤瀉(おもだか)雅子さんです。

「さあ、体をほぐしましょう。そしていい声を出しましょう。」ということで、みな立って好きなように肩や首を動かしたり、手を伸ばしたりします。

その動作にも伴奏がつきます。「ラジオ体操」ではありません。なんとベートーベンピアノソナタ悲愴の第2楽章です。澤瀉さんの演奏はなんて軽やかなんでしょう。自然に体が動いてリラックスしてきます。そして、これからベートーベンを歌うんだという気分が盛り上がってきます。

下村先生は挨拶もそこそこに早速レッスンに入ります。12回のレッスンで初心者が暗譜で第九を歌えるようになるには一人一人が真面目に練習することが必要で、それを全力で支援してくださるとのお言葉。ただし、レッスンの進み方は速く、厳しいところもあるとのこと。

「はい、25ページMのところ。ソプラノ。まずはリズム読みから。フロイデ シェーネ ゲッテルフンケン トホテル アウス エリージウム」

下村先生は指揮者なので、譜面が読めるというか、譜面の意味が分かっているという前提で指導が進んで行きます。「譜面が読める」とはどういうことかは人それぞれで意味が違っていて難しいですね。ですが、先回りして言うと、初参加で合唱経験もなく、譜面が読めないと言っていた人も立派に1万人の第九の本番を歌いきっていました。

レッスンで先生に指導を受け、ピアノ伴奏に合わせて実際に歌ってみると、自分ができているところとできていないところがわかります。そのできていないところを、練習CDを何度も聞いて倣って覚えてしまえばいいのです。実際に楽譜があまり読めないであろう子供たちが、ドイツ語の意味もよく分からないまま歌えるようになるのですから。要するに「習うより慣れろ」ということなのです。

譜面が読めなくても耳で覚えればいいのです。そういう意味で下村先生が歌って教えてくれるところと、澤瀉先生の音取りの音程や伴奏の音をしっかり体で覚えることが大切です。練習CDはそれが復習できるように作られています。

歌詞の意味が分からなくてもメロディーラインを覚えて歌えるのが歌のいいところではあります。しかし、合唱の場合、歌詞の意味をしっかり理解して歌うと演奏で表現すべきこと(嬉しいのか、悲しいのか、それに合わせてどのような音量と声色で発声すべきか)がわかり、それによって演奏の質がぐんと上がります。

 

シラーの歌詞を理解する

べ―トーベンの第九の歌詞は、ドイツの有名な詩人シラーによるものです。この詩の意味は下村先生が丁寧に解説してくれます。ざっくり言ってしまうと、「世界中の人々が一つになって天空にある至上の愛の歓びに向かって進んで行こう。」だと思います。

なので、最初の合唱の発声である「フロイデ=歓び」を、歓びを爆発させるようにみんな(本番は1万人全員)で気持ちを一つにして大きく厚みのある発声することがとても大切です。下村先生はここがうまくいくがどうかで本番が成功するかどうかが決まるとまでおっしゃいます。そのためにこの部分は繰り返し、繰り返し練習します。

そうして合唱が始まった後は、天空にある至上の愛を求め、それを皆で得るために進んでいき、困難はあるものの、最後にはそれを感じ取れた歓びを歌い上げていきます。途中で悩んだり、障壁にぶちあたったり、確信が持てなくなって自問したりする人間的な部分も表現されます。

 

合唱部分は以下のように4部構成になっていると思います。

1)導入部(譜面のD-E-Gパート)

皆が一つになって、至上の愛を求めに行く覚悟を聞かれ、それに向かって進んで行くところです。後半の男性合唱の部分はまだ全員がまとまりきっていないところが描かれています。

2)メインテーマ部(譜面のM-Nパート)

Mは誰もが知っている最も有名なあのフレーズのところです(ファファソラ ラソファミ レレミファ ファーミミ:ソプラノがメロディーです)。なので、下村先生はこのMの部分からレッスンを開始したのです。

至上の愛に対するあこがれと、それによって皆が一つになること、そして至上の愛は全世界に注がれることが高々と歌いあげられます。そして、さあ、天空にある至上の愛を求めに行こうと皆の気持ちを一つにします。

3)天空の愛の喜びを歌うフーガの部分

合唱の最大の聞かせどころです。天空に至った喜びと至上の愛が皆に注がれる喜びが爆発するところです。この2つの喜びがまじりあって高まっていくことがフーガの技法で高らかに描かれています。この部分を1万人で歌うと、もう天空にいるようで、ソプラノの声がまるで天使の声のように聞こえます。

4)仕上げの部分

天空の力で世界が一つになること、みなが一つになり、そこに至上の愛が注がれることを再確認して、至上の愛の歓びを高らかに歌い上げます。

 

「万九」の楽譜の最後にドイツ語の歌詞とその日本語訳が書いてありますが、あまりしっくりこない感じです。肝心なところは3つで何度も繰り返し歌われます。

その部分に英訳をつけて見てみましょう。日本語訳を見るよりも、構文的には英訳で見た方が元々のドイツ語の意味がわかりやすいと思います。

 

1)天空にある楽園の賛歌

Freude, schoner Gotterfunken,

Tochter aus Elysium.

Wir betreten feuertrunken

Himmlische dein Heiligtum.

英訳は

Joy, beautiful spark of Gods,

daughter of Elysium(楽園),

We enter fire-blessed shrine(神殿)

of heaven, your sanctuary(聖域).

 

2)至上の愛で皆が一つになろうと歌う

Deine Zauber binden wieder,

Was die Mode streng geteilt.

Alle Menschen werden Bruder,

Wo dein sanfter Flugel weilt.

英訳は(多少意訳しています)

Your magic power bind again

what the mode (world) (is)

strongly divided.

All people will be brothers

where your soft wings stay.

 

3)すべての人が一つになってそこに至上の愛(キス)が注がれると歌う

Seid umschlungen Millionen! 

Diesen Kus der ganzen Welt!

英訳は

Hug together, millions of people!

This kiss will be given to

the whole world!

 

Mのメインテーマのパートでは1)を歌った後に続けて2)を歌います。

フーガのパートは、アルトが3)で入った直後にソプラノが1)ではいり、続いてテノールが3)で入って、最後にバスが1)で入ります。

4つのパートそれぞれが1),3)の歌詞をメロディーを変え、タイミングを変えて複雑な輪唱を歌って素晴らしい音楽を作り上げます。

最初の本番はこの部分で感動のあまり泣いてしまって歌えなくなるほどだと、何人ものメンバーが言っています。200人レベルのレッスンでやっても、最初は涙目になってしまします。 (以下続きます)

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「万九」の歌い方

歌詞がおおよそ理解できたところで、歌い方やメロディーラインを見て行きましょう。私はテノールなのでテノールパートの説明をします。

第九は合唱曲なので、全部で10段の譜面になっています。ソリストのソプラノ、アルト、テノール、バスの4段の譜が細いカギカッコでくくられた部分と、合唱団のソプラノ、アルト、テノール、バスの4段の譜が太いカギカッコでくくられた部分と、伴奏ピアノの2段の計10段です。

実際にソリストと合唱が一緒に歌う部分は少なくて、10段譜で書かれているのはSのパートの最初などのわずかな部分です。しかし、最初のレッスンなど、慣れないうちは、今譜面どの部分をやっているのか迷子になることがあります。譜面の自分の歌うパートに蛍光ペンで色を付けている人もいます。いいアイデアだと思います。

さて、最初に練習するMのメインテーマですが、メインのメロディーはソプラノのファ♯で始まりますが、アルトはラ、テノールとバスはレで始まり、メロディーラインとは違う音程で四重奏を作っていきます。歌う和音はレファ♯ラで、ニ長調の主和音を合唱で鳴らして始まります。

レッスンでは譜面を部分に区切って一か所づつ習っていきます。部分ごとにまずは歌詞の読み方をやります。続いて各パート毎のリズム読み(音程はつけないで各音符の長さだけを再現する読み方)をやります。その後すぐに各パートの音取り(ピアノの音程に合わせて歌う)をやってから4パートを合わせた合唱練習が始まります。

「えー、初心者コースの初めてのレッスンなのにみんな歌えてる。」と驚きです。おそらく参加者の半分以上が経験者です。なので、初心者を手取り足取りというレッスンにはなりません。

初心者も早く経験者に追いつくように努力が求められます。

私の場合は、一列後ろに、正確に歌える人がいたので、彼の音を聞きながら最初は歌っていました。それでは少し発声が遅れてしまうのですが、そうやって慣れていくのも万九初心者としての現実的なやり方の一つだと思います。とにかく声を出すことが大切です。初心者クラスなんですから、間違いを気にせずに大きな声で歌いましょう。

前の方の席にいると、誰がどういう音を出しているかは先生には全部わかっているようです。最初は、ついていけなくて音程がずれてしまうこともあります。そういう時は、名指しではなく、やんわりと指導が来ます。それを励みに直していけばいいと思います。 (以下続きます)

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ああ、「万九」最高!

16時半ごろからいよいよ第九の演奏です。

皆、本番用の衣装になって合唱団の席が白と黒で統一されました。空席詰めをして合唱団を一体にしてあるので、会場を見ているだけで荘厳な気持ちになります。

小栗旬さんがシラーの詩の日本語での朗読を素晴らしい迫力で演じました。とても心に残ります。

さあ、第九が開演です。

第一楽章が始まりました。佐渡さんの心のこもった指揮でベートーベンの音楽が紡ぎ出されていきます。

第4楽章まで来ました。管楽器のパーンと言う音と同時に、1万人の合唱団が一斉にすくっと立ち上がります。この立ち上がりはとても重要で、何度も練習しました。それと同時に暗かった合唱団のアリーナ席とスタンド席が一斉に照明されて一気に主役に躍り出た気分です。私の場合、スタンド席の前の満席の観客席が見えます。いやがうえにも気持ちが盛り上がります。

バリトンのキュウ・ウォン・ハンさんが歌い始めます。ベートーベンがシラーの詩の前振りとして付け足した、「こんな音楽ではない、もっと歓びに満ちた調べに声を合わせようではないか!」。です。

今までのオケの演奏を超える音楽をシラーの詩とべートーベンの音楽にのせて佐渡さんと作り出そうという意気込みで、1万人で「フロイデ!」と叫びます。

すごい音量です。ゲネプロとは気合が違います。一気にスイッチが入ります。

キュウさんの「フロイデ シェーネ ゲッテルフンケン」の独唱に続いて、合唱団も「ダイネ ツァウベル」を歌い上げます。

ソリスト陣の合唱に続いて、「ヤー」の部分です。最初のバスの大音量に巻き込まれそうです。周りの力を借りてなんとかテノールパートについていきます。

女性陣も渾身の合唱です。ソプラノが最高音域で歌い上げるところです。女性陣の声の質と大きさがゲネプロまでとはまるで違います。そうなんです。ソプラノは本番で最高のパフォーマンスを出すために、練習の時は声をセーブしていたのですね。確かに、このすごい曲を1日2回も渾身で歌うことはできませんからね。経験者が多いので周到な準備をされていたのだと思います。

ここはソリストが「真の友や伴侶を得たものはこの天への行進に参加していいよ」と問いかけるのに対して、合唱団が「はい、入るよ。魂が入っているから。でも、そうじゃない人は泣きながら帰ってね(ここはいろいろ解釈があるようです)。」と、掛け合いになっているところです。本番だからこそ表現できる音楽の呼吸感をうまく佐渡さんが引き出してくれます。

キュッセの部分をソリスト陣の合唱に続いて合唱団も歌い上げます。ソプラノは最高音シ♭の連発で、すさまじい迫力です。そして、「フォール ゴーツ」の長大なフェルマータの聞かせどころに来ました。

「うー長い! がんばるぞ!」 佐渡さん思いっきり引っ張ってる。

棒に合わせて、「ツ」でピタッと休止。

「すごい!」 咳音一つしません。みんな素晴らしい集中力です。この後の無音を聞かせることで一気に音楽の緊張感が高まります。

オケの演奏のあと、テノールの吉田さんが「ラオフェット」の行進曲のソロを歌います。それに後からかぶせていくように男性合唱が追いかけます。おもいっきり気持ちよく歌います。飛び出した人は一人もいません。素晴らしい。

さあ、主題のMの部分です。オーケストラが転調しながら何度も問いかけるのにこたえる形で、高らかに歓びを歌い上げます。それに続いて「ザイト ウムシュルンゲン」。大好きなところです。1万人の一体感がたまらなく素敵です。

「イール シュテュールト ニーデル」です。ピアニッシモからフォルティッシモへのダイナミズムを表現するところです。

フォルティッシモの迫力もさることながら、1万人でやるピアニッシモからの立ち上がりはすごいです。鳥肌が立つなんてレベルを超えて音楽に自分が吸い込まれそうな感じです。

「イーバー シュテルネン ムス エア ボーネン」とピアニッシモフェルマータでのばして、さあフーガです。

佐渡さんの棒が勢いよく振られました。アルトの「ザイト ウム シュリンゲン」の上にソプラノの「フロイデ シェーネ」が重なる女性合唱が始まりました。

「うわあ、なんだ、これは!」 まずは横方向から地響きのように聞こえてくるアルトの大合唱が帯のように体に巻き付いてきます。その直後に、席詰めによってテノール席の上の方に陣取っていたソプラノの大合唱が加わり、素晴らしいハーモニーが始まりました。まるで天空から降ってくる天使の声のようです。この女声合唱の渦に自分がまきこまれてしまいそうです。この声に聴き入ったら最後、我を忘れて魂を抜かれてしまいそうです。 (以下続きます)

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ゴスペルはライブだ!

わたしの通っているゴスペル教室には年に1回、ゴスペルライフと言う合同発表会があります。これに2019年の7月に初めて参加しました。

場所は横浜のクイーンズスクエアです。ショッピングゾーンの中の吹き抜けのオープンスペースに、ステージと音響設備、観客席を設けて行います。上の階からも観賞できるので、200人ぐらいの人の前でマイクを使って歌います。

MCがいて、雰囲気を作ってくれます。そこで、首都圏の各教室のチームが順番に歌っていって、その後複数チームの合同で歌ったり、先生方の模範演奏があったりと、とても楽しいものです。

我々のチームの出番は午後2時過ぎです。1時半に集まって、ローブに着替えます。ローブを着ると結構暑いので、下は黒のTシャツ1枚です。

MCに紹介されて、仮設の楽屋からチームでステージに入場します。メンバーは13人です。ステージは3段で私は2段目の真ん中です。マイクは一人1本です。マイクとの距離を数センチに保って歌えるように高さと位置を確認します。指揮とリードを取る先生がチームを紹介した後、演奏開始です。PAから録音伴奏が流れてきます。いつも練習しているものと同じです。

一曲目は2006年グラミー賞を受賞したイズラエル・ホートンの「Alive」を歌います。

https://www.youtube.com/watch?v=o_VyEm8Gvho

この曲は歌詞の内容は前に述べたようにゴスペルですが、楽曲としてはノリのいいR&Bに聴こえます。

ブルーノート感たっぷりのイントロが流れてきます。ブルーノートとはハ長調で言うと、ミとシが♭になっている哀感たっぷりの音階のことです。この曲の譜面はミとシとラが♭になるハ短調で書かれていて、ラにナチュラルがついています。コードはCmとCdimの繰り返しです。なるほど、譜面はこう書くんだ、と妙に納得したところです。

最初の入りはユニゾンです。キレよく歌って、休符がピタッ、ピタッ、と決まって気持ちがいいです。

「ハレルーヤ、ハレルーヤ、ジーザス イズ アライブ オール オーヴァー ザ ワールド」の主題部分に来ました。テノールは上のレ、ミ、ファ、ソの音域で主旋律を歌います。その下をソプラノとアルトが下の音でハモっていて、とても気持ちがいいです。

つい自分の音がしっかり聞きたくなってマイクに近づき過ぎました。すると指揮している先生から少し離れるようにとの明確な指示が出ました。

指揮者はコーラスのバランスが整うように全体を聴いて細かい指示を出しています。指揮も明確で声がそろってキレが出てきています。指揮そのものがダンスのようでカッコよく、それにつられてノリが出てきます。

三段のひな壇ステージで歌っていると、生音では後ろの人の声しか聞こえません。横にあるモニタースピーカーからは伴奏の音だけが出力されています。なので、個々のマイクで拾った歌声をミキシングした音と伴奏を合わせて聞いている観客席の人に我々のコーラスがどのように聞こえているかは正確にはわかりません。ここは全体を聴いている指揮者の指示を見て歌うことで自分の役割を果たすことに徹します。

もう一つの聞かせどころである「ヒー コンカード デス、ソー アイ キャン リブ から ブレスト ビー アゥア リーズン セエエエヴェアーーーーーーアーー」のところが来ました。

ここも、ズーッとテナーが最高音を歌っていくので気持ちがどんどん高揚してきます。「セエエエヴャーーーーーーアーー」は、「ミ♭ーソーファーレーソーーーーーーシーー」となんとシまで上がるのです。

私は普段は高いシなんて出ないんですが、このAliveだけは出るのです。その理由は、ズーッと高いミ以上の高音域で歌っているので多分ファルセットっぽい歌い方になっているからなんだろうと思います。それとゴスペルのリズムの良さにも乗せられているんでしょうね。

この高揚感に乗せられて高い声が出るというのもゴスペルならではの楽しさだと思います。 (以下続きます)

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