話題の本を読みました。

話題の本を読みました。

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表題からは分断を煽るかのような本に見えるが、そうではなかった。世界で起きている分断の事実の確認、その原因の理解、分断が進んでいくことに対する処方箋とそれがもたらす社会がユートピアディストピアかに思いを巡らすにはいい本でした。

 

先進国で起きている分断の原因は3つある。それは「①知識社会化=論理、数学、言語運用能力に優れた人だけが富と名声を独占する」、「②リベラル化=何をするのも自由だが、その結果は自分で責任を取る、今不遇だとしてもそれは(勉強しなかった)自分の責任」、「③グローバル化=先進国では生産現場で働く機会が失われる」であって、知識社会のメインステージからあぶれた人が下級国民になっている、という事がデータや論説の出典を明らかにして述べられている。

 

「じゃあ、どうしたらいいの」については、残された希望は「テクノロジーによる設計主義」だという。AI、ブロックチェーン、ゲノム編集などのテクノロジー現代社会の難問を解決しようという。その代表がシリコンバレーを本拠地とするサイバーリバタリアン(自由を尊重する人々)。それには右派と左派がいて、右派は「行動心理学=人々が無意識のうちに合理的な行動をするように環境を最適設計する」を用いて漸進的に進もうとする。左派はそれではかったるいとして、すべての国民に健康で文化的な生活を保障するユニバーサルベーシックインカムを与えることを提唱する。

 

「高度化した知識社会」では、テクノロジーは高い知能を持つ一部の人しか理解できず、彼らが特権層となって富を独占する。しかし、シンギュラリティ―が本当に2045年に来れば、AIが勝手に進化して生み出すテクノロジーは人は誰も理解できず、知識は意味を失って知識社会は終わる。そして技術は魔術と区別がつかなくなる。そして教育は意味をなさなくなる。それが令和の時代(2045年は令和27年)に起きるかも、と結んでいる。

 

ここからは感想です。

 

著者はベーシックインカムは(国家の)財政破綻を招くとしているが、ベーシックインカムを、うまくデザインされた有効期間付き地域限定デジタル通貨で配ることで解決できるのではないかというのが私の妄想です。ビットコイナー(開発者)は究極のリバタリアンが多い。管理者(国家)のいない社会で合意形成をするのが彼らの目標。通貨は国家が管理するもの。リブラのような、国家が管理しない暗号通貨(資産)での価値交換による経済活動がネット上だけでなく、実物経済でもできるようになれば世の中は変わり、国家の意味も軽くなる。だから国家にぶら下がる既得権益者は危機感を持ってこぞってリブラをつぶそうとするんだろうな。ピーターティールはペイパルを作ったんだし、フェイスブックの初期投資者だし、そんなこと考えないのかな。

 

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