1万人の第九、佐渡連のメモ(11/22 19:30@文京シビックホール)

東京地区の参加者1700人(主催者発表)で佐渡裕総監督の指導を受けるレッスン@文京シビックホール

18:45の開場の30分前に到着。既に200-300人ぐらい並んでいたが、8割方が女性なので、テノール席の前から4列目に座れた。

全体を見た感じでは、参加者はアルト/ソプラノ/バス/テノール=500/500/200/200 の1400人ぐらいかな。

佐渡さんは細身のブルージーンズに、足首の見えるスリッポン(例年どおり)、白地に青で電卓のキーボードのような絵が描かれたTシャツ姿で登場。時々青いタオルで額の汗を拭う。

通常の100人規模で歌う合唱とは別次元の、「1万人だからこそできる、人間のちからを示す合唱を作る」という強い思いを述べられた。

「音の神殿を作りたい」と心に響くメッセージとともに練習開始。

【フロイデ】

指揮の手が肩の上30センチぐらいのところで、巻き舌を準備して、フライング気味、各人バラバラで構わないので、体をつかって全身で発声して喜びを表す(でも、最後のデはそろえる)。1万人のフロイデで観客を驚かせ、1万人の第九の世界に観客をぐいっと引き込むことが大切。

両手を振り降ろしながら体を使って何度も発声練習をするうちに(最後は女性も参加した)、声の迫力が見違えるように増してきて驚いた。

【Daine Zauber】

例年通り、左右の席の人と手を握り合って、ニギニギのリズム感を合わせて全員で歌う。

男性は年々よくなっているとのお言葉。

オクターブ上がるところでテノールが速くなることを注意されてやり直し(ここは毎年のことだなあ)。

ここは今年も、佐渡さんは「ニギニギ」で指揮するとのこと。

【Ja】

テンポ感がDaine Zauberの倍であることを意識して歌う。

nie ge-konntのsfの後、合唱ではじめて出てくるディミニエンド、(dim)der stehle, (p)weined~の練習。

weinendからの部分は涙を流して悲しく去っていく人々のこと歌うのだから、テンポ感を弱めて悲しい感じで歌う。

【Kuesse】

一万人のキスが煌めいているように歌う。

ソプラノ(とテノール)がJaのテンポのさらに倍(8分音符)で、上に向かう意識で歌っているのを、アルトとバスが横に流れていく基盤の音程(4分音符)を作って支えることが大事。

321のund der Cherubからは

天空の門の前で、ケルプ天使はまだ門を開けてくれないことを表現する。

326 からと328からオケ(ピアノ)が32分音符で下に2回崩れていくのはその門が開かない落胆を表している(おお、すごいことを教わった)。

その「なんで!」という、気持ちが最後の3回目のVor Gottのファのナチュラルとラの重音に現れている。(それまでの2回のVor Gottは二長調(Ddur) でファとドがシャープのD durとA durのコード。)だから、最後のVor Gottは目いっぱい引っ張る。佐渡さんの両腕が肩の高さにある間は引っ張る意味であると指揮を理解する。ここはカンニングブレスをしていいので、最後は「ゴーオツ」と「オツ」をしっかり発声すること。

この後の静寂をしっかり表現する(咳はダメです)。それは言葉による指示でなく、「ゴーオツ」の後、B♭に転調した後の、ピアノ(オケではファゴット2台)のシ♭のオクターブをしっかり聞く練習で確認されました。

男声合唱

このミッキーマウスマーチのような、天空に向かう男性の行進に付き合う音楽隊は小規模である(トランペットは1台)。その意味を理解して歌う(賛同する人はまだ少ない)。

合唱は行進にいろんな男性(例えば、パン屋、教師、警官など)が参加している不ぞろい感があっていい。

男性合唱の後のオケの演奏の最後の方は、行進していく足元がだんだんゴツゴツして来て歩きにくくなっていること(天空に向かう試練)を三連符で表現している。

恒例の、佐渡さんを男性第一列(今年はテノール1番乗りとバス1番乗りの間)に入れての、男性全員が肩を組んでの合唱は3回目でやりました。

【M】

Mに入る前に、オケが長調短調長調の和音を奏でるが、最後の長調の和音の2小節がMのメインテーマの前奏になっている意識で歌う。最初のフロイデは爆発するように歌う。

【Ihr Stuert】

佐渡さんの指揮に合わせて<Ihr Stuert>の練習。デクレッシェンドの表現ができていないとの指摘。その後のstuertは5音シュテュルツトと5音をしっかり発音する。< >の後一瞬の無音の後、その5音を始める指揮棒を佐渡さんが明確に振るのに合わせて何度も練習する。

 Welt?のffの後のppのゾッフォ。ここが佐渡さんの最大のこだわり(1万人でやるff-ppのダイナミズムの凄さを音楽的に高めていく)。発声の開始をみんなで合わせなくていいので、とにかく小ささの極限の発声で始める練習を何度もする。今日の極限練習で音が出なかった人は本番でも出なくてよい。それくらいの小さい声で始めることがとても重要。そのためにいつ発声を始めるのかをあえて棒で示さない指揮をするとのこと。

【二重フーガ】

今年の東京チームはとても上手(特にソプラノ)なのでびっくりしたとのお言葉。

ザイトウムシュルンゲンとフロイデシェーネがパートを変えながら歌われていくが、「フロイデ! フロイデ!」もソプラノ、アルト、テノール、バスの順で歌い繋いでいく。それを意識して歌う。この「フロイデ! フロイデ!」が各パートのピークになる。

【フーガの後のR】

バスがpでIhr Stuertを始め、テノールがpでAhnset duで受ける。この部分は6拍子であることを意識して歌う。この部分ではまだ疑問を感じているところなので、テノールは(音が上がっていくけれど)クレッシェンドしてはいけない。アルトが歌うゾッフォから確信が芽生えてくるのでクレシェンドする。その後4パートがユニゾンでゾッフォを歌うところで確信が確実になる。そしてそれがsfのブリューダーになって、オケがハイハイと答える聴かせどころをしっかり作る。この後、試練や迷いを乗り超えた「天空に愛しいお父様がいらっしゃる」という最終確信を歌い上げる。

その喜びの表現はソリストに渡される。

【S】

 通して歌う。

【最後のプレスティッシモ】

いっきに歌う。

最後のオケの演奏のところで天空の門が開くということを意識する。

【私の感想】

今年は前の2回より、音楽表現と曲の解釈に関する深い指導が多くあったと思う。

佐渡さんの、1万人の第九ならではの「音の神殿を作る」、という強い思いを共有することができて、例年以上にしっかり歌おうという気持ちになりました。

周りもしっかり発声している人が多く、1,000人を超える合唱もよく響いていた(会場のせいもあると思う)。それもあって、菅井先生の発声練習から張り切り過ぎて、最後のプレスティッシモのところでガス欠気味になってしまった。高いラが出ず、ちょっと後悔。声も少し枯れてしまった(最近はめったにないんだけどな、それだけ力が入った佐渡連だった)。最初の1万人の本番の時を思い出した。今年は本番に照準を合わせて、ゲネプロは余力を残してこなすようにしよう。それと、初めてオケの後ろのアリーナ席になったので、舞い上がらないように気をつけよう。

【追記】

佐渡さんの、「第九の第一楽章は〇〇、第二楽章はダンス、第三楽章は究極のラブソング。」というコメントがあった。どうしても〇〇が思い出せない。残念。

今年の1万人の第九の第一部にゲスト出演するファビュラスシスターズは、第九の第2楽章を踊っている。その関連で佐渡さんのコメントが気になるなあ。

https://www.youtube.com/watch?v=Lt8XTZ6rI1s&fbclid=IwAR2zY8Fj86EDax_uKiRi965LU-2nhWrZLjClnuxIfnDR92quS6qKiXgCT14

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