シリコンバレーのマインドセット「ベストプラクティス」を日本でも実行しよう。

昨日、デジタル革新をソフトウェア開発の分野で推進するシリコンバレーの企業と話す機会がありました。

いい刺激を受けたのでメモを残します。

シリコンバレーとは場所のことでも、そこで働いている人々のことでもない。マインドセットのことである。そのマインドセットをもてば日本でもシリコンバレーになれる。」という。

そのマインドセットはベストプラクティスと呼ばれる。

それは、自分の得たい最良の結果をプロトタイピングなどの手法で制定し、それに対して最短で到達できる手法を取ること。その考え方をリーンと言い、その活動の様式をアジャイルという。

ソフト開発で言えば、まず何が出来たら合格かを決め、その検査の仕方を定める。そしてそれに向かって重要度の高いものからモジュールを組み立てるように構造化して開発を進めていく。検査をパスしながら進めていくので組みあがったら即、システムとして望んでいたように動作する。

今までの、組みあがったものに試験を繰り返してバグを取っていく手法と比べて圧倒的に工数が少なく工期が短い。

ソフトウェアは生き物と考える。ユーザーニーズの変化に対して機敏(アジャイル)に改善していくことを継続するので、固定的な最終製品という概念がない。

「バグのない完成品をもってこい」という従来の日本的マインドセットとまるで違う。その日本的手法では完成品を定義するのに膨大な時間がかかり、それができたと思った時には世の中が変化していて完成品自体が時代遅れだったりする。

あっという間に出現したペイペイのようなスマホフィンテックのサービスと、何度もATMをとめて試験ばっかりしているどっかの銀行のシステムを比べて見ればわかる。ビジネスをデジタル化するという神髄がここにある。

ビジネスのデジタル化とは、B to Cビジネスの場合、顧客のスマホとつながり、顧客にデジタルデータを渡すことでネット上、実空間上でのサービスを提供してその対価を得るというビジネスの仕組みをソフトウェアでつくること。それはサービスを提供するためのハードウェアから自由になる(クラウドのビジネス)ことを意味している。

タイム トゥー マーケットであるためにはアジャイルでなくてはいけない。

ビジネスの仕組みを支えるシステムは変化する世の中に寄り添って変わっていける仕組みを内包していなくてはいけない。

翻って、日本のIT(SI:システムインテグレータ)業界のビジネスモデルの問題は大手顧客企業のビジネスの道具としてのコンピュータシステムをその顧客要求にあわせてカスタムメイドで提供することにあった。一旦そういった形で顧客の中に取り込まれるとずっとシステム更新やメンテ運営サービスのビジネスで潤うと思ったのだろう。

ところが顧客はそのカスタムなシステムを自社を差別化するレガシーと思って30年もメンテさせたのである。保守費を値切りながら。ハードはどんどん変わっていくのに、昔のソフトを動かし続けながらビジネス要件の変化に対応するのはまさに苦行で、レガシーが負の遺産になってしまった。

顧客もそれを変えたいと思ってはいるが、30年間場当たり的なシステム改造を続けてきて全体がどうなっているかわからない。システムの抜本的変更をしようにも失敗したらどうしよう、とりあえず今のままでビジネスはできているし、金をかけて大改造して不具合が出てビジネスが止まったら大損害だし顧客に説明できないと言うという経営者の声に誰もリスクがとれず、ずるずると来てしまった。結果としてそのシステムを使って行うビジネスもジリ貧になってしまった。ここに日本のマインドセットの問題の縮図がある。

ではどうするか。それはビジネスのやり方を変える事。メーカの場合、ものを作って売るのではなく、それを利用する価値を提供するように変える。

いわばビジネスの水平分業化。ビジネスのインフラはプラットフォーマの提供するクラウドを使い、その上でビジネスアプリを動かしてビジネスをする。

水平分業がおきると、顧客視点で見て類似のビジネス(銀行と保険と証券、タクシーとレンタカーと自家用車利用など)の間の垣根を取っ払うようなディスラプティブな動きが当然起きる。そこを狙ってビジネスをアグレッシブに広げる。が、そこに行政の規制という壁が立ちはだかってくる。UberAir B&Bの日本での状況がそれを物語っている。ここにも昨日と同じように今日を管理したがる行政のマインドセットの問題が出てくる。

日本のマインドセットは時間をかけてものごとを決めたらそれを守るという事が根底にあるようだ。ああ、どうしたらアジャイルになれるのか。道は険しい。

きょうは問題の整理まで。ちょっと考えて続編を書くことにしよう。そこで何らかの解決の道しるべがみつかるといいのだが。

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