スペイン旅行記(1)バルセロナ アントニオ・ガウディの建築を見て回った一日
2018年5月31日にバルセロナを観光し、アントニオ・ガウディ(1852年 - 1926年)の建築を見て回った。
言わずと知れたガウディの代表作で、1882年の着工以来今も建設が続いている贖罪教会(信者の贖罪のための喜捨=寄附により建設する教会)。2026年に完成予定とされていたが、昨今の新型コロナの影響で喜捨(拝観料も含む)が減り、工事が遅れているとのこと。
東側の「生誕のファザード」に向かって池のこちら側から撮影したもの。
古いものと新しいものが無理やりくっつけられているなあ、というのが第一印象。工事用クレーンが動いているのが見えるのもちょっとなあ、という感じがする。仕方のないことだけれど。
「生誕のファサード」のある東側から入場する。
生誕のファサードは、太陽がのぼる東側に位置し、中央の「愛徳の門(慈愛の門)」、向かって右側の「信仰の門」、左側の「希望の門」で構成されている。
このファサードはガウディが存命中に着工したもので、この完成のために日本人彫刻家の外尾悦郎氏が石工職人として長年従事してきたのは有名な話ですね。
キリストの降誕の場面。真ん中のちょっと下、マリアの前にイエスがいるのがわかる(飼い葉桶に入っているのか)。横にいるのはマリアの夫のヨゼフ。上にいる天使が嬉しそうに笑っているのは感動ものだ。ヨセフの後ろにいるのは牛なんだろうか(イエスの生まれた家畜小屋には馬でなく、牛がいたらしい『イザヤ書』1章3節)。左にいるのは東方三博士のおひとりですね。
キリストの降誕の場面の上の、真ん中の上の方の部分は受胎告知の場面を表している。
左上の方でイエスの誕生を祝福して楽器を奏でている天使は外尾悦郎氏が手掛けたものとのこと(全部で15体あるとのこと)。
左の端にいる3人が東方三博士だな。右側の人々は犬を連れているので羊飼いたちだろう。
さて、中に入ってみる。
けっこう天井が高い。現代風のキューポラと思える。そして、その真ん中には十字架にかかるキリストの像がある。かなり斬新に思える。
このキリスト像の周りには、福音書を描いた4人の聖人のアイコンがある。赤い獅子は聖マルコ、緑の牛は聖ルカ、青い鷲は聖ヨハネ、黄い天使は聖マタイを示している(なにか仏教の四天王みたいだな)。
上の写真では聖マルコの赤い獅子と聖ルカの緑の牛のアイコンが見える。
ステンドグラスをじっくり鑑賞する。朝方、夕方など時間によって太陽の光の入る方が変わるので、きれいに見えるステンドグラスが移り変わっていくそうだ。
地下の礼拝堂にはガウディが埋葬されているそうだ。
エレベーターで塔の上まで昇る。そして螺旋階段を降りながら周りの景色と建物の様子を楽しんでみる。
サグラダ・ファミリアの螺旋階段は、「ダヴィンチ・コード」のダン・ブラウンの最新作「オリジン」でラングドン教授が大活躍するところ。「オリジン」の映画化の話はまだ聞かないが、トム・ハンクスがラングドンをやるとすると、結構きついシーンになるなあ。そんなことを思いつつ下っていく。
では、最後に日の沈む西側にある、受難のファサードを鑑賞しよう。
受難のファサードは、 カタルーニャ出身の彫刻家Josep M. Subirachs(ジョセップ マリア スビラックス)の指揮により完工したものだそうだ。
このファサードの彫刻は、最期の晩餐から、ユダの裏切り、キリストの磔刑、十字架降架までの13の場面を経て、キリストの昇天に至るまでの14の場面を表現しているとのこと。
【参考】 https://aoitrip.jp/facana-de-la-passio
なにか「生誕のファサード」と比べて、寂しい感じだが、これで完成している(現代風彫刻という事か)。
受難のファサード(正面)の写真の真ん中上、三角形の頂点の下のところがキリストの磔刑の場面。
その真下には、十字架を担ぐキリストと、キリストを哀れんだヴェロニカが身に纏うヴェールをキリストに差し出し、それでキリストの額を拭ったら、ヴェールにキリストの顔が浮かび上がる場面が描かれている(真ん中の顔はキリストの顔)。ヴエロニカの顔は何も彫られていない。
昇天したキリストは、実はかなり上にいる。受難のファザード(全体)の写真で小さく写っている。上から3分の1ぐらいのところに、2つの塔をつなぐ渡り廊下のようなものがあるが、そこに座っておられる。
このキスをする2人はユダとキリスト。キリストを裏切るユダは、キリストを捕まえに来た兵士たちがキリストの顔を知らないので、ユダが「自分がキスをする相手がキリストだ」と伝えていたことに由来する。兵士たちはこの2人の像の左側にいる。
この2つの像の間に合計が33になる魔法陣が描かれている。これは、キリストが昇天した年が33歳だったことに由来しているという説がある。
実はこの魔法陣は扉にも刻まれている。
残念ながら何が書いてあるのかはわからない。
もう一つ「栄光のファサード」というのが建設中だとのことだが、覆いがかぶされているのか、どこにあるのかはわからなかった。
お土産ショップでTシャツなどを買って、カサ・ミラに向かった。
【カサ・ミラ】
サグラダ・ファミリアから徒歩で向かった。
カサ・ミラはガウディが、実業家ミラ氏の邸宅として、1906年(ガウディ54歳)に設計し、1910年に完成させたもの。現在でも居住者が住んでいたり(家賃は当時と変わらない契約があって15万円だそうだ)、事務所として使われている部分もある。それ以外の博物館となっているところを見学する。
屋根裏に上がる。
「オリジン」でラングドンたちはこの通路を通ったと思うが、観光客は侵入禁止になっている。
屋根裏は博物館のようで、建物の模型や、ガウディの設計と思われる椅子が展示されている。
驚いたのは屋上に上がった時だった。
煙突に見えるが(実際に煙突の機能があるらしい)、これは、この家を守るガーディアン(守護神)達だそうだ。なんだかラピュタのロボット兵を思い出す。色がそうかなあ。もちろんこちらが本家。
ガウディらしい曲線の世界に浸って、異国に来たような気がする。床が波打っているので、上り下りが結構大変。
ガーディアンの説明文もある。煙突と誤解するなと書いてある。満月に生き返る巨人もいるそうだ。ファンタジーが素敵だ。
【カサ・バトリョ】
さらに歩いてカサ・バトリョに来た。
カサ・バトリョは、1877年に建設されていた、大繊維業者のバトリョ氏の邸宅をガウディが1904年から1906年にかけて改築したもの。この改築でガウディは、階段や内壁を作り直し、各部屋に曲線的なデザインを持ち込んで、タイルやステンドグラスの装飾を施したとのこと(ウィキペディアより)。
では中を見て行こう。
色彩と曲線がマッチしていて、こんな家に住みたいなあという気持ちになった。
【グエル公園】
最後にグエル公園の写真をいくつかあげておこう。
サルバドール・ダリはこの小屋と東屋を見て、「砂糖をまぶしたタルト菓子のようだ」と評したそうだ(ウィキペディア)。
【まとめ】
ここにあげた四カ所は全部世界遺産になってる。ガウディの曲線と豊かな色彩に溢れた世界を楽しめたいい一日だった。
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