SoftBank World 2020 孫正義氏の基調講演(10/29/2020)で紹介された、期待のAI企業(ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先)

10 日ほど経ってしまったが、SoftBank World 2020(10/29/2020)で 孫正義氏が紹介したAI系の有望企業10社のメモを残しておこう。これらはソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先でもある。米国、インド、中国、韓国の企業ばかりで、日本企業は1社もない。それが寂しい。

①VIRVIO  (AI創薬

https://www.crunchbase.com/organization/virvio    (ちょっと情報が古い)

新型コロナに対する抗体開発の有望企業

AIで組み合わせを検討してその人に最適な抗体を作って体内に入れる(トランプが受けた治療法に近いもの?)

孫さんは既に上場していると言っていたと思うが、その情報はウェブで発見できなかった。

② Zymergen (AIによる新素材開発)

Who We Are | Zymergen(生物学を革新するというなかなか力の入ったHPだなあ。)

AIによるデータ分析に基づいて微生物の遺伝子を組み替え、それを利用して天然成分由来の虫よけ剤(マラリアの減少に多大な貢献ができる)や光学フィルムを開発する。

通常300億円かかる新素材開発費用をAIを使って10分の1に減らすことができ、開発期間も通常10年かかるものが5年に短縮できる。

③ XtalPI (AI 創薬

XtalPi

量子物理化学、AI、クラウドを活用した創薬技術の開発。開発スピードは通常の手法にくらべて10倍速い。

いわゆるMolecular Pharmaceuticsの進化系のようだ。

実際に創薬するのではなく、創薬のための革新的な開発支援プラットフォームを提供する企業に見える。

MITの量子物理学者が創業したと言っているが、CO-Founderの3人はすべて中国人で、社員の写真もみんな中国人に見える。創業の地はボストンだけれど、開発センターは深圳と北京にある。テンセントなど中国からの投資も多く入っている。実質的には中国企業であろう。

トランプ的物言いをすれば、中国に米国の技術を持っていく企業のようにも見える。

④Biofourmis (AIによる心不全予知)

https://www.biofourmis.com/

患者の腕にセンサー端末を血圧測定のカフのように24時間装着しておいてそのデータをセンターに無線で送る。そのモニターデータをAIが監視していて、不整脈のパターンを解析して心不全の発生を14日前に検知することができる(確度99%。孫さんはこれにより、もう人は心不全で死ななくなったと言う)。

この仕組みを活用して投薬の最適化(体への負担と医療費の削減)、再入院の減少が実現でき、患者、医療機関医療保険機構の三者に恩恵が及ぶ。

この仕組みはFDAの承認が取れている。

⑤ Zuoyebang   (作業帮) AIによる学習支援

thebridge.jp

中国の子供に対する宿題支援企業。1.7億人が利用している。

2.5億問の宿題をAIが解析していて、その回答手順を子供に教える。そうすることで単に答えを出すことでなく、筋道を立てて問題を解いていく学習態度を身につけさせる。

これは驚きですね。コロナでオンライン授業がどうのこうのと言っている日本との差は開くばかり。

⑥ lenskart.com(AIによる眼鏡のオンラインオーダーメイド)

www.lenskart.com

インドの眼鏡企業。スマホカメラを使ってAI検眼(度数確定)をし、ユーザの顔の形状に合わせたフレームをリコメンドする。眼鏡店に行かなくてもスマホだけで自分に合ったオーダーメイド感覚の眼鏡が購入できる。

工作ロボットによるレンズの削り出しからフレームの作成、レンズ装着まで自社内の一貫製造で行い、大量販売ベースで大きなコストダウンができる。

既に25億本の眼鏡を提供済(インドの眼鏡需要は膨大)。

日本からも注文できるようです。

⑦ NURO (自動運転宅配車)

nuro.ai

NUROのサービスはもうカリフォルニア、テキサス、アリゾナで始まっている。

MAX 40km/h で走行する。宅配自動運転車。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが筆頭株主

地域適性(交通事情のゆったりした郊外での規制緩和)があれば、アマゾンフレッシュやウーバーの配達人がNUROに置き換えられる予感はありますね。いずれコミュータとして人も運べるようになるでしょう(スマートシティの内部とか)。

⑧ ByteDance

www.bytedance.com

言わずと知れたTik Tokの親会社。

AIとデジタルとメディアを融合して、ユーザーのBehaviorから好みを解析してどんどんリコメンドの確度をあげていく仕組みに強みがある。

個々のユーザーに対する最適コンテンツを提供してスクロール量やリピート回数を上げることができる。

➈ Beike (貝殻) (VR内覧を使ったオンライン不動産販売企業)

thebridge.jp

VRで不動産物件を内覧し、リノベーションの提案をAIで行う(この部屋はこんなリノベーションをすると、こんな部屋になりますよと見せることができる)。これによって不動産販売とリノベーションビジネスを合わせて効率よく行える。ユーザーの好みも的確に反映させられる。

中国で月に3900万人がこのアプリを利用している。

キーワードは 「売買如視」

⑩ Coupang (クーパン、韓国企業)

韓国のアマゾン。配送完了までの時間がとにかく速い。AIを使ってピッキングのルートと配送ルートの最適化を図っている。

ja.wikipedia.org

以上が今年の10件。2年前の10件と比較するのも面白い。

yoshihiro-kawase.hatenablog.com