ダン・ブラウン「ORIGIN」の読後メモ。汎用AIや量子コンピュータ、生命科学と宗教、スペインの歴史。エンタメ満載。
だいぶ前に読んだんだけど、ダン・ブラウン「ORIGIN」の読後メモを作っておこう。
ネタバレのない科学の範囲で印象に残ったこと。
1)エントロピー最大化問題を量子アニーラーに解かせると、生命はエントロピー最大化に至る過程のなかでのローカルな窪みとして存在の場所を得るとの印象を持った。
2)パターンは自然界に発生するが、コードは人の知性的な意識が意図をもって作ったもの。”Codes are the deliberate inventions of intelligent consciousnesses.”というラングドンの説に合意した上で、DNAはパターンの中にコード(のようなもの)があるんだと思った。DNAは自然物の中に何かの意識が入っているものの様に思える。
3)私がすべての始まりと思っている、量子揺らぎの話が触れられていない。でも、量子揺らぎはエントロピー増大原理のミクロな表現でもあるので、言っていることは同じか。
揺らぎ=Spontaneousと読むと、Spontaneousという言葉は本文に13回出てくる。この言葉をこういった背景をもって読むとすっきりする。
Life arose spontaneously from the laws of physics.
4)究極の問いはここに来る
If the laws of physics are so powerful that they can create life…who created the laws?! (ラングドン)
AIに関しては、
目標値最大化のためにAIに自律行動を許すと、あそこまでいってしまうという警句を出しているのは確かだな。ラングドンが言ったようにAIに倫理(Should not)を教える必要があるのかどうか。AIに(囲碁の手のような)人間がまだ気が付いていない目標に対する最適解の候補を見つけさせるのはよいが、その採否の判断と執行までをゆだねるかどうかは結局人間の問題。
オンラインゲームの中では人が操るアバターとAIのアバターはそろそろ区別がつかなくなる。ロボットにAIを積んでほとんどエッジコンピューティングだけで自律的に動けるようになると、そいうロボットの存在は人間の生活に直接干渉してくる。ドローンはもうそこまで来ている(ドローン兵器)。