はじめてのエリック・クラブトンのライブ@武道館 4/18/2019 クラプトン本舗の幕の内弁当をじっくり味わう。やっぱりブルースが白ご飯。
友人に誘われてクラプトンの武道館ライブに行った。アリーナ席の正面やや右よりの、前から9列目。とてもいい席。
クラプトンが登場した。初めて見るとやっぱり心が躍る。中学・高校と毎日エレキを弾いていたころの自分のヒーローなんだから。
バンドは、いつもの黒人5弦ベーシスト、ドラム、女性黒人バックコーラス2人に、キーボードが2人。向かって左端に黒い筐体のハモンド系奏者、右端にヤマハの小型のキーボード奏者。さらにギタリストが一人、ギブソン335を使う左利き。
クラプトンはストラトキャスターを取って、最初の曲が始まった。すべての曲名を知っているわけではないが、彼らしいスローバラードロックとでもいうべき曲。続けてブルース。
その流れで、(多分)6曲連続して演奏した。偶数番曲がブルース系で、その間にロック系の曲が入る。途中で「I Shot the Sheriff」をやってくれた。ロックがおかずで、ブルースが白米で、それを交互に味わうクラプトン幕の内弁当みたいだ。
武道館は15,000人で満席だけれど、私の席からはスタンド席は目に入らず、ちょっと大きめのライブハウスで聞いているようでとても気持ちがいい。
クラプトンの指使いも双眼鏡なしバッチリで見える。スローハンドと言われた右手と、斜めに構えて小指を使わない左手の動きをしっかり見届ける。
照明はバンドの背後の壁面にタイルのように埋め込まれたLEDパネルの色の変化とスポットライト。天井からスクリーンが2枚ぶら下がっていて、左側のキーボード奏者がソロを取る時など手元を映してくれる。
ステージが暗転して、ちょっと小休止。クラプトンが上着を脱ぎ、椅子に座ってマーチンを右の太ももの上に乗せる。アコギはD-28でなく、ちょっとだけ小ぶりのOOO-28ECのようだ。特別協賛している黒澤楽器のグッズ売り場のブースにそう書いてあった。
さあ、そろそろアンプラグドバージョンかな、と思うが、左利きギタリストは335のままで椅子に座って全体のバンド演奏が続く。
このOOO-28ECでも、6曲(だったと思う)演奏した。真ん中でお目当ての「Tears in Heaven」と「Layla(アコギ・スローバージョン)」の連続演奏があった。
超有名な曲だけれど、みんな座って静かに聞いている。
「Tears in Heaven」は自分のイメージよりちょっとだけテンポが速い。やっぱり、ナイロン弦の音が欲しいなあとは思う。
これは「Tears in Heaven」の以前の武道館のライブ。伴奏はギターはエレガット。
https://www.youtube.com/watch?v=2-6EAY7et3w
Laylaはやっぱりロックでききたいなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=JGQinRzqyD0
これも武道館なのでなおさら。さっきそう気が付いたらこのロック版を昨日聞いたような錯覚をして、胸が詰まるような気持ちになった(今年でも、4月13日はロック版のLaylaが聞けたようです。日によって演目はちょっと違うんですね)。
あまりにも冷静に聞いている自分がいるのにちょっと驚く。クラプトンが思ったより落ち着いた歌い方をしているからだろう。
ギターを再度ストラトに変えてさらに6曲(多分)演奏した。
Wonderful TonightとCrossroadsをやってくれた。Crossroadsはテンポを落としてブルース色を強めたバージョン。
ギター弾きとししてはクリーム時代のロックなCrossroadが聖典だからなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=rIgX4e2Z9Qk
これはジャックブルースと張り合わないと出てこない名演かも。
とうとうLASTの曲。雰囲気でそれとわかる。なんと「Cocaine」。アリーナ席は前の方から立ち始め、みんなで「Cocaine」と叫ぶ(いいんかい)。
ここまで多分18曲を90分、休みなし。一旦下がって、アンコールを1曲。ボーカルは左側のキーボード奏者がとった。
最後にバンド全員が肩を組んで挨拶。1時間45分のクラプトンの物語でした。
今のクラプトンを余すところなく見せてくれたんだろうけれど、そつなくまとめた「幕の内弁当」感がどうしてもある。スローロックもブルースもテンポはほぼ同じなので、第2楽章のアダージョだけでなく、プレストな第三楽章(ロックなLaylaやCrossroads)が聞きたかったなあ、という思いは残る。
ソロ演奏をバンドのギタリストやキーボードがとる場面もかなりある。クラプトンのギターもイメージで言うと、16分音符までという感じ(ブルースならそうなる)で、味はあるが、あえて言えばスリルは少ない。ブルース特有の三連符も、もう少しグッと泣いて欲しいところはあった。ボーカルを含めて音量のダイナミズムが激しくはないので、やや平板に聞こえ気味なところもところどころあった。
全体としては落ち着いたよい記念となるライブでした。
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