書評
立花隆の「サピエンスの未来」を図書館でたまたま見つけて読んでみた。 これは、立花隆(1940-2021年4月30日)が東大の駒場で1996年の夏学期に行った「人間の現在」という講義の記録である。初回は500人が聴講したが、最後の講義まで残っていたのは80人程度…
多くの人が言う。「モーツァルトは他の音楽とは違う」と。 私も「モーツアルトか、それ以外か」というぐらい別格に思える。なぜなんだろう。 「それはモーツァルトが天才だからさ。」そうかもしれない。 それでは先に行けないので、モーツァルトをモーツァル…
ハーバード老化生物学研究センター共同所長のD.A.シンクレア氏が著した「ライフスパン」(2019年に原作)の日本語版(2020年9月)を読んだ。 よく売れている本なので、「老化は病気なので、化学物質を摂取することで予防や治療ができる。」という氏の主張は…
川瀬巴水のことを初めて知ったのは、3年前(2018年)にパリを観光旅行して、パサージュ巡りをしていた時のことだ。 とある本屋に立ちよって、ジャポニズム関係のものがいっぱいあるなあ、と棚を眺めていると、 「あれ、このKAWASEって人、あなたの親戚なの」…
このブルームバーグの記事を読んで、DeFiの世界での暗号資産の取引は、イーサリウムのセカンドレイヤーで金融技術を駆使したスマートコントラクトを使って異次元的に凄いことをやっているのに驚いたというお話。
金融のプロであるFBの友人が、下記のブルームバーグの記事をFBで紹介してくれた。 www.bloombergquint.com それを見た私は、タイトルから内容を推測して、甘いコメントをしたところ、その友人は、私が読み取れなかったこの記事の核心部分に気づかせてくれる…
この本の主題は、ずばり、複雑系と言われる、生命、都市(社会経済活動)、企業の成長と死を説明する共通のモデル(スケーリング則)があるのかどうかという事にある。 その結論は、生命と企業は線形以下のスケーリング則に則るので、同一種の中では大きくな…
ビジネスと人生の「見え方」が一変する、生命科学的思考、迷いなく生きるための生命講義 を読んでみた。 著者の高橋祥子氏は、京大を卒業してから、東大の院で生命科学を専攻し、博士課程在籍中に、個人向けにゲノム解析サービスを提供するベンチャーを起業…
Daniel Levitin氏の「This is your Brain on Music」。2006年に米国で出版され評判になった本。その邦訳の版権がYAMAHAに移り、新版となって今年の1月に出たので読んでみた。 著者のLevitin氏はミュージシャンから音楽プロデューサになり、その後神経科学者…
だいぶ前に読んだんだけど、ダン・ブラウン「ORIGIN」の読後メモを作っておこう。 https://www.amazon.co.jp/Origin-Novel-Dan-Brown-ebook/dp/B01LY7FD0D/ref=sr_1_1_twi_kin_1?ie=UTF8&qid=1526719406&sr=8-1&keywords=origin%20dan%20brown&fbclid=IwAR27…
昨日、あるオフ会で宇宙論の話が出て、AdS/CFTとホログラフィック宇宙論のことが話題になった。いろいろ会話したなかで、今まで調べて考えてきたことを纏めておきたくなった。 今妄想しているのは、次のようなこと。 宇宙そのもの(Dinge an sich)は冗長多次…
最近、イタリア語と、その源となったと思われるラテン語に興味を持っている。地元の図書館の蔵書をネットで検索していて、たまたまこの本を見つけた。 著者は2人のイタリア語史の大学教授。学者の書いたものというと、引用だらけで、読みにくい、堅苦しいも…
福岡伸一氏。「動的平衡」で有名な分子生物学者。氏は凄まじいほどのフェルメールオタクでもあって、フェルメール作とされる37点の絵画全部をデジタル技術を使ってリ・クリエイト(今の現物のコピーでなく、作成当時の色合いなどを科学的に予測して再現する…
吉森保 阪大教授の、最先端生命科学の良質な入門講義書を読んだ。 タイトルは「LIFE SCIENCE 長生きせざるを得ない時代の生命科学講義」。 タイトルは覚えきれないほど長いが、その記述は、「科学とは仮説検証である」ことから始まって、平易な言葉を用いた…
瀧本哲史氏。東大法学部卒業と同時に助手(ほぼ首席卒業を意味し、そのまま進めばいずれは東大法学部教授)になりながら数年で退職して、マッキンゼーに転職。その後、エンジェル投資家として成功し、京大客員准教授として「企業論」や「意思決定論」を教え…
三島由紀夫。高校生の頃、「おれは三島と谷崎が好きだ。」と嘯いていた割にはその本質はわかっていなかったような気がする。 大学生の時に、豊穣の海を読んだけれど、「暁の寺」以降は難解で、理解できなかったことだけを覚えている。 一つ思ったのは、「あ…
ガロア。その名前を始めて聞いたのは中学3年生の時だった。物理の先生が、何かの折に、「数学の才能は若いうちに発揮される。ガロアを見ろ。天才的な論文を獄中で書いて、決闘で死んだんだ。その年はわずか20歳だ。」 若くして決闘で死んだ天才というのは、…
ホーキングのビッグ・クエスチョン<人類の難問>。しっかり読んだ。ホーキングの答えから私が読み取ったものを綴ってみた。 ①神はいるのか 神がいなくても宇宙物理学は困らない。宇宙の科学法則を神と呼ぶのは構わない。 ②宇宙の始まり方はどうだったのか …
IUT(宇宙際タイヒミュラー)理論の紹介書を読んでみた。望月新一氏(現京都大学数理解析研究所教授)の構築した独創的な数学で、これの応用の一つとしてABC予想を解決したとされる。 ABC予想は下記に説明があるが、どうも、足し算と掛け算の根深いところに関…
(ユニバーサル)ベーシックインカム(BIと言う)。「国民全員に(0歳児にも億万長者にも)同額のお金(例えば毎月7万円)を政府が配る」という考え方。 こんなことを言うと、 金持ちにまでお金を配ってどうする。 その財源は国債だろ、国の借金が増えて国家…
「戦略の本質」。2005年の本。いくつかの大手企業の非常勤取締役をやっていた野中郁二郎氏を筆頭著者とする有名な本。企業戦略を考えるのに役に立つのかなと思って持ってはいたが、今まで読んでなかった。自粛巣ごもり生活の中の積読解消プロジェクトの一環…
安宅さんのシン・二ホンというと、シン・ゴジラが流行った翌年(2017年)に財務総合政策研究所で行ったこのプレゼン資料が有名ですね。 「“シン・ニホン” AI×データ時代における⽇本の再⽣と⼈材育成」 https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy201…
MITの宇宙物理学の教授がAIと人間の未来について考察した本。原書は2017年の出版で、オバマやビル・ゲイツ、ホーキングが絶賛したと言われています。たまたま「誠品生活日本橋」の「誠品書店」に行ったときに、出たての日本語訳を見つけて思わず買ってしまっ…
この本も表紙は客よせパンダで、むしろ裏表紙が内容を語っている。 マルクス主義を現代風に見直すことで今の格差社会に活路を見出したいというのがこの本の主旨であると思う。 マルクス主義を見なおそうとストレートに言うと、あの無茶苦茶だったレーニン・…
表紙と本の中身は何も関係ない(こんな、いかにも売らんかな、のタイトルをつけることに出版業の凋落を感じるなあ。むしろ、裏表紙が本の内容を説明している)。 本書は、メディアが政治権力と結託して人民をコントロールしているなんてことは少なくとも日本…
「ループ量子重力論」を提唱するイタリア人理論物理学者カルロ・ロヴェッリの書いた啓蒙書。 「量子重力の基本方程式は時間変数を含まず、変動する量の間のあり得る関係を指し示すことでこの世界を記述する。」だから時間は存在しない。 「ループ量子重力論…
話題の本を読みました。 表題からは分断を煽るかのような本に見えるが、そうではなかった。世界で起きている分断の事実の確認、その原因の理解、分断が進んでいくことに対する処方箋とそれがもたらす社会がユートピアかディストピアかに思いを巡らすにはいい…
「1万人の第九」の経験談の本を書きました。アマゾンのキンドルで8月11日に発売されます。そのプレビュー版です。 人生100年時代を楽しむ 大人の歌の始め方 「1万人の第九」と「ゴスペルライフ」の感動の舞台へ行こう 目次はじめに歌が歌いたい第一章 おとな…
「超訳 ヨーロッパの歴史」を読んだ。 丸善あたりでは売れているようです。結論を言い切った文章を連ねているので、特に前半は読みやすい。欧州を、ギリシア・ローマからEUまで、文化、言語、制度、主義、宗教などの視点で論じている。 現代では、自由主義と…
令和元年7月14日に「人生100年時代を楽しむ おとなのピアノの始め方 発表会でショパンが弾けるゴキゲン練習法」をキンドルで出版しました。その「試し読み」を下に記します。 全編はアマゾンで購入できます。 https://www.amazon.co.jp/dp/B07TY8SRW7/ref=sr…
3冊目の本をアマゾンで電子出版しました。 内容を紹介します。人生100年時代の生き方に悩んでいるあなたへこの本は、現在企業に勤めていて、「このまま同じ会社に定年まで勤めて、その後は雇用延長という人生を描いても展望がない。卒サラするにもリスクがい…