ゲイシャ種に関するコーヒーロースター店主との会話がためになった件。

行きつけのコーヒーロースタ―店「ナチュラル」に行ったら、エチオピア産のゲイシャ種の豆があった。

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いつも買うモカ・イルガチァフィとコスタリカと一緒に購入して、

「先日、サザコーヒーのカウンターでコロンビア産のゲイシャ種を飲んだけど、すっきり系の甘さと長く続くいい酸味が結構気に入ったよ。このエチオピア産のゲイシャ種もおなじような感じかな。この店で年末だけ売っている、パナマ産のゲイシャは200g で3000円越えで、ちょっと手が出なかったけど、今年は買うからね。」

というと、意外な答えが返ってきた。

「あのー、今年はパナマ産のゲイシャは仕入れられないと思います。」

「えー、何で。」

パナマ産のゲイシャは、まず1級の畑で取れたものが、オークション販売になって、トンデモない値段になるんです。今までは、2級畑のものはオークションにならず、商社に流れてきたので、それを店が仕入れることができたのです。しかし、今年は2級畑のものも農園側がオークションにかけると言っているので、商社に流れてこないんです。商社も怒っていますよ。」

「へー、同じ品種でも畑の区画が違うだけで、味や、格が変わるって、ワインみたいだねえ。ロマネコンティの隣の畑でピノ・ノワールを作っても同格のワインにならないのとおなじだね(笑)。」

「土地(土壌、気候、育て方)だけじゃありません。豆の処理の仕方(コーヒーの実の中の豆をどのタイミングで取り出して乾燥させるか)や、焙煎(時間)、抽出(温度)によっても味は変わります。」

「そうだよね。地域差なら、ワインで言えば、同じシャルドネ種でもフランスのシャブリとアメリカのナパでは違ったものになるしね(笑)。」

ゲイシャ種に関しては、今はナチュラル(コーヒーの実をそのまま乾燥させてから豆を取り出す)で処理することが流行ってきていますが、私はゲイシャのあのきれいな味を引き出すにはウォッシュ(外側の皮と果肉を剥いで、豆だけを取りだして洗ってから乾燥させる)の方がいいと思っています。」

「例えば、フルーツをドライフルーツで食べるのがナチュラル、フレッシュなまま食べるのがウォッシュと考えてもらうといいですよ。豆そのものの味がするのはウォッシュです。ナチュラルにすると複雑な味になります(店主談)。」

ナチュラルって、ブドウの皮をつけたまま仕込む赤ワイン、ウォッシュはブドウの皮を剝いでから仕込む白ワインみたいだと思うとわかりやすいね。今日買ったコスタリカは(果肉を少し残して乾燥させる)イエローハニー製法だから、これはロゼみたいなもんだ(私)。」

「この店は、(ていねいな管理が必要な)ナチュラル製法の豆を高い技術で焙煎して売るのが特徴だからナチュラルって名前にしたと前に聞いているけど、パナマゲイシャだけはウォッシュを推すとはねえ。パナマゲイシャは素の豆がそれだけいいんだってことなの。」

「はい。それに、パナマゲイシャはその味を引き出すのに最適な焙煎条件の範囲が狭いので、しっかりした焙煎士のいるところで買わないと意味ないですよ。」

「それと抽出の温度も大事です。」

「なるほど。コーヒーは 豆(品種)+土地(テロワール)+処理方法(ナチュラル/ウォッシュ/ハニー)+焙煎(時間)+抽出(温度)の総合力で味を引き出すものなんだね。どういう場所で、どういうカップで、誰と飲むかももちろん大事。」

エチオピアゲイシャ、家で楽しんでみるよ。」

という事で、さっそく、パナソニックのコーヒーメーカー(豆の挽きから抽出までお任せ)で出したエチオピアゲイシャは、豆を多めにした濃い味志向でもあったので、ナチュラル製法らしいしっかりした味でした。

サザで飲んだコロンビアゲイシャはスッキリ系だったので、同じゲイシャ種でも随分違う。あれはウォッシュ製法だったのかもしれない。サザで豆のままで買って自宅で飲んだパナマ・チリキはそれ以上に超スッキリだったので、これもウオッシュなのかな。今度サザにいったら聞いてみよう。

今まであまり深く考えたことがなかった、コーヒー豆のナチュラルとウォッシュ。赤ワインと白ワインに例えてみたら、俄然興味が湧いてきた。いろいろ味わってみよう。