ヴェルディの「椿姫」をMET(メトロポリタン歌劇場)のライブビューイング映像(映画)で見た。とても良かったので鑑賞後の感想を綴ってみる。

2020年11月29日に鎌倉芸術館小ホールでヴェルディのオペラ「椿姫」のMETの舞台のライブビューイング(2018年12月15日のライブ映像記録)を見た。

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METにいるのと同じように幕間があって、その時間を使って歌手や指揮者へのインタビューやメイキング映像(指揮者とソプラノ歌手のレッスンの紹介)が見られたのもよかった。

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今まで、オペラの観劇経験はなく、オペラの有名アリアを集めたCDだけを聴いてもなんだかピンとこない感じだった。けれど今回は違った。ライブビューイングとはいえ、歌手が劇を演じているのを見ながら、その心情を吐露するように歌っているのを聴くオペラには格別なものがあると実感できた。

背景の大道具や他の群衆出演者も物語に幅と奥行きを与えている。

劇場だと、席によってはオペラグラスを使わないと見えないような演者の表情も、映像なので、2次元ではあるけれど、アップで見られる。それはとても良かった。

さて今回見た椿姫。

原作はアレクサンドル・デュマ・フィス(息子の方)の「La Dame aux camélias (椿の花の貴婦人):仏語」だけれど、ヴェルディのオペラの椿姫は「La traviata(ラ・トラヴィアータ:道を踏み外した女):伊語」になっている(女性名詞の定冠詞は仏も伊もLaなんだな、ラテン語には冠詞はないのに)。

オペラの方は、原作の戯曲版からヴェルディが発想を得て作ったので、話は原作よりシンプルになっているようだ。

注)親父のアレクサンドル・デュマ・ペール(大デュマ)は「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」を描いた大小説家。

面白いのは、主人公たちの名前が原作とオペラで違っていること。

フランス語の原作をイタリア語のオペラにするんだから確かに名前も変えないとイタリア語のノリが出ないよね。でも、物語が進むのは19世紀中ごろのパリ。

オペラのヒロイン(ソプラノ)はヴィオレッタ・バレリー(原作はマルグリット・ゴーティエ)。

そして、その恋人(テノール)はアルフレッド・ジェルモン(原作はアルマン・デュヴァル)。

恋人の父(バリトン)がジョルジュ・ジェルモン。

第2幕でこの父親が、ヴィオレッタに向かって、息子と別れてくれと威厳を持って切々と歌うのだけれど、これがとても素晴らしい。

バリトン歌手はクイン・ケルシー(ハワイ出身)。ヴェルディの歌い手として評価が高いそうだ。バリトンの高い方の声が素晴らしく、何かチェロのストラディバリウスが鳴っているように思った。「あー、あんな風に歌えたらなあ」、とあこがれてしまう。

テノールはファン・ディエゴ・フローレス(ペルー出身)。現代最高のベルカントテノールと言われているようだ。

フローレスの高音もいいんだけれど、テノールって、ソプラノのヒロインを引き立たせるための軽薄な役周りになっているせいか、その分歌唱力が割り引かれて聴こえるような印象になってしまう。それだけ感情移入して音楽を聴いてしまうのがオペラならではということか、と思った。

先日、あるテレビ番組で、テノール秋川雅史が、「テノールはモテない(ナルシストだから)。最初はよくても、結局はバリトンがいいところを持っていく。」と自虐的に笑いを取っていたが、役どころでもそんな感じがあるのかなあ。

私は合唱ではテノールで歌っているのだが、このオペラで一番感激した歌い手は意外なことにクイン・ケルシーのバリトンだったんだなあ。バリトンはソロしかないからねえ。第九でも最初の一番いいところのソロはバリトンが持っていく。

さて、ヒロインのソプラノはディアナ・ダウラム(ドイツ出身)。幕間のインタビューでMCが、ダウラムのことを「オペラ界のメリル・ストリープ」と紹介していたが、演技力は確かに素晴らしい。さらに、超高音域を含めた歌唱表現にも心を奪われる。

オペラとして一番心を打たれたのは第2幕。息子と別れてくれと迫る父親と、最初は反発しつつもそれを(恋人ために)受け入れるヴィオレッタの心情変化を描写する2重唱が切々と続く。2人がそれぞれの異なる心情を別の歌詞で同時に歌うのだけれど、それがなんとも美しく響いて、心に沁みる。

歌詞の内容は日本語字幕でわかるのだが、2人の横に、2人がそれぞれどういう歌詞を歌っているのか同時に示されるのでとても分かりやすい。

父親が、「泣け」、「泣け」とヴィオレッタに迫る場面はこっちも泣きそうだった。

劇の演出としては、ヴィオレッタがアルフレッドと別れて、パトロンとなった公爵と行ったパーティの会場に突然エキゾチックな踊り子集団が表れて群舞をしたのが、びっくりしたけど楽しかった。

METの観客もヤンヤの喝采の拍手をしていたのだが、あれはヴェルディの台本(台本作家はフランチェスコ・マリア・ピアーヴェ)にあるのか、METだけの演出なのかよくわからなかった。でも、とても良かった。

話としては19世紀中頃のパリの常として、アルフレッドと公爵が決闘することになる(その場面描写はない)。あの時代はそんなもんなのかな。日本でも武士が刀を差して街を歩いていた時代だし。

オケを指揮したのはヤニック・ネセ=セネガン(カナダ出身)。メイキング映像でオケやディアナ・ダウラムとの練習風景を見せてくれたのはよかった。

ディアナ・ダウラムとの練習では、Si, Bravaなどとイタリア語を使っているのに、「このEフラットの音はとても大事だからね」、などと音階は英語(ダウラムはドイツ人なのに、Esというドイツ語を使わない)なところも興味深かった。

クラシック合唱では、音階はドイツ式が世界標準と教わったこともあるのだけれど。エーがAなのか、Eなのか混乱しないかねえ。(エイとエーで区別できるか、日本人は間違えそう)。

蛇足だけれど、イタリアオペラなら、ソプラノには、「ブラーバ」で喝采するのですよ(テノールには「ブラーボ」)。なんでも「ブラボー」では、男女を区別しない英語になってしまうのでね。ちなみに、オケ(複数)に対しては、「ブラービ」です。

また、La traviataも最後がaで終わっているので女性であることがわかる。名詞に性があるのは便利にも思えるが、LGBTQの時代が本格化したらどうするのかな。

イタリア旅行を楽しむために、イタリア語の初歩を少しづづやろうと思っているのだけれど、イタリアオペラを楽しむという別の目的も出てきそうだ。

オペラにハマったのは間違いない。さあ、次はどうしようか。

 

SoftBank World 2020 孫正義氏の基調講演(10/29/2020)で紹介された、期待のAI企業(ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先)

10 日ほど経ってしまったが、SoftBank World 2020(10/29/2020)で 孫正義氏が紹介したAI系の有望企業10社のメモを残しておこう。これらはソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先でもある。米国、インド、中国、韓国の企業ばかりで、日本企業は1社もない。それが寂しい。

①VIRVIO  (AI創薬

https://www.crunchbase.com/organization/virvio    (ちょっと情報が古い)

新型コロナに対する抗体開発の有望企業

AIで組み合わせを検討してその人に最適な抗体を作って体内に入れる(トランプが受けた治療法に近いもの?)

孫さんは既に上場していると言っていたと思うが、その情報はウェブで発見できなかった。

② Zymergen (AIによる新素材開発)

Who We Are | Zymergen(生物学を革新するというなかなか力の入ったHPだなあ。)

AIによるデータ分析に基づいて微生物の遺伝子を組み替え、それを利用して天然成分由来の虫よけ剤(マラリアの減少に多大な貢献ができる)や光学フィルムを開発する。

通常300億円かかる新素材開発費用をAIを使って10分の1に減らすことができ、開発期間も通常10年かかるものが5年に短縮できる。

③ XtalPI (AI 創薬

XtalPi

量子物理化学、AI、クラウドを活用した創薬技術の開発。開発スピードは通常の手法にくらべて10倍速い。

いわゆるMolecular Pharmaceuticsの進化系のようだ。

実際に創薬するのではなく、創薬のための革新的な開発支援プラットフォームを提供する企業に見える。

MITの量子物理学者が創業したと言っているが、CO-Founderの3人はすべて中国人で、社員の写真もみんな中国人に見える。創業の地はボストンだけれど、開発センターは深圳と北京にある。テンセントなど中国からの投資も多く入っている。実質的には中国企業であろう。

トランプ的物言いをすれば、中国に米国の技術を持っていく企業のようにも見える。

④Biofourmis (AIによる心不全予知)

https://www.biofourmis.com/

患者の腕にセンサー端末を血圧測定のカフのように24時間装着しておいてそのデータをセンターに無線で送る。そのモニターデータをAIが監視していて、不整脈のパターンを解析して心不全の発生を14日前に検知することができる(確度99%。孫さんはこれにより、もう人は心不全で死ななくなったと言う)。

この仕組みを活用して投薬の最適化(体への負担と医療費の削減)、再入院の減少が実現でき、患者、医療機関医療保険機構の三者に恩恵が及ぶ。

この仕組みはFDAの承認が取れている。

⑤ Zuoyebang   (作業帮) AIによる学習支援

thebridge.jp

中国の子供に対する宿題支援企業。1.7億人が利用している。

2.5億問の宿題をAIが解析していて、その回答手順を子供に教える。そうすることで単に答えを出すことでなく、筋道を立てて問題を解いていく学習態度を身につけさせる。

これは驚きですね。コロナでオンライン授業がどうのこうのと言っている日本との差は開くばかり。

⑥ lenskart.com(AIによる眼鏡のオンラインオーダーメイド)

www.lenskart.com

インドの眼鏡企業。スマホカメラを使ってAI検眼(度数確定)をし、ユーザの顔の形状に合わせたフレームをリコメンドする。眼鏡店に行かなくてもスマホだけで自分に合ったオーダーメイド感覚の眼鏡が購入できる。

工作ロボットによるレンズの削り出しからフレームの作成、レンズ装着まで自社内の一貫製造で行い、大量販売ベースで大きなコストダウンができる。

既に25億本の眼鏡を提供済(インドの眼鏡需要は膨大)。

日本からも注文できるようです。

⑦ NURO (自動運転宅配車)

nuro.ai

NUROのサービスはもうカリフォルニア、テキサス、アリゾナで始まっている。

MAX 40km/h で走行する。宅配自動運転車。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが筆頭株主

地域適性(交通事情のゆったりした郊外での規制緩和)があれば、アマゾンフレッシュやウーバーの配達人がNUROに置き換えられる予感はありますね。いずれコミュータとして人も運べるようになるでしょう(スマートシティの内部とか)。

⑧ ByteDance

www.bytedance.com

言わずと知れたTik Tokの親会社。

AIとデジタルとメディアを融合して、ユーザーのBehaviorから好みを解析してどんどんリコメンドの確度をあげていく仕組みに強みがある。

個々のユーザーに対する最適コンテンツを提供してスクロール量やリピート回数を上げることができる。

➈ Beike (貝殻) (VR内覧を使ったオンライン不動産販売企業)

thebridge.jp

VRで不動産物件を内覧し、リノベーションの提案をAIで行う(この部屋はこんなリノベーションをすると、こんな部屋になりますよと見せることができる)。これによって不動産販売とリノベーションビジネスを合わせて効率よく行える。ユーザーの好みも的確に反映させられる。

中国で月に3900万人がこのアプリを利用している。

キーワードは 「売買如視」

⑩ Coupang (クーパン、韓国企業)

韓国のアマゾン。配送完了までの時間がとにかく速い。AIを使ってピッキングのルートと配送ルートの最適化を図っている。

ja.wikipedia.org

以上が今年の10件。2年前の10件と比較するのも面白い。

yoshihiro-kawase.hatenablog.com

 

SoftBank World 2020 孫正義氏の基調講演(10/29/2020)のメモ。孫さんとNVIDIA Jen-Hsun Huangと対談も楽しめた。孫さんのAIに対する期待と信頼は揺るがない。

オンラインでSoftBank World 2020に参加した。とても刺激的な孫さんの基調講演を聴いたのでそのメモを残します。

孫さんの話は2部構成になっていました。

① NVIDA のCEOである Jen-Hsun(Jensen) HuangとのZOOMを使った対談(1時間、事前録画の再生)

② ソフトバンク・ビション・ファンドが投資している有望AI企業の紹介(1時間)

孫さんは東新橋のソフトバンクグループ本社の社長応接と思われる部屋のソファに座ってセータ姿。Jen-Hsun Huangは自宅なのか、暖炉(火は恐らくLEDライトの演出)の横のソファに座ってトレードマークの革ジャン姿。友人同士というくつろいだ雰囲気を演出して対談が始まった。

孫さんは、4年前(2016年)に、孫さんのカリフォルニアの自宅の庭で、Jensenと3,4時間食事をした時の会話が忘れられないとのこと。その時に2人の間でのAIの将来像は完全に一致したそうだ。孫さんはその時に、ARMを買収することを決心したと言っている。

孫さんがARMを3.3兆円の現金(3割借り入れ)での買収を発表したのは2016年の7月。2020年の9月14日にそのARMを最大4.3兆円(400億ドル)でNVIDIAに売却することを発表したが、そのうちの215億ドル相当分は、NVIDAの普通株式44,366,423株)で支払われる(この時のNVIDA 1株の評価額は484ドル:10/28の株価は505ドル)。

ソフトバンクグループ、英Armの米NVIDIAへの売却を発表 :日本経済新聞

この結果、ソフトバンクNVIDIA筆頭株主になるそうだ。(6億1800万株の内の4437万株を持つので、約7.2%の株を持つ大株主になる。NVIDIA時価総額は約33兆円)

ARMの売却話が出た時に、Jensenは最後に最高額で札を入れることを決めていたそうだ。

Jensenは今までのARM IPのライセンシーが不利になることはしないと言う。ARMの最大の価値はそのエコシステム(1300万人)とDistribution Power。そのエコシステムの中にNVIDIAのAIを浸透させていくことを進めたい。エッジの覇者であるARMをNVIDIAが手に入れた意義は大きい。

コンピュータは最初は単に高速で計算をする機械であったが、メモリーを持って記憶能力を持ち、それによって検索ができるようになった。そして、目(カメラ入力)や耳(マイク入力)を持って、自らデータを収取し、それが何であるかを認識できるようになった。そして今や話をすることもできる。こういった進化を経てコンピュータの使い方がどんどん変わっていく。と、孫さんは言う。

理解し、考え、CREATEすることにどんどんコンピュータ(AI)は使われていく。

最先端AIに関する2人の共通認識は、

コンピュータ(AI)がソフトウェア(プログラム)を書く時代がとうとうやってきたという事。

コンピュータは疲れ知らずで、どんなめんどくさいこともやりきるので、これは凄いことになる。

コンピュータプログラムが書ける人は地球上の全人口の0.5%しかいない。こういった人々が今まで成功と富を得てきたが、これからは、コンピュータがプログラムを書き、スキルが自動化されてくる時代が来る。

そういった時代に人間がやることはDreamとWishを持つこと。そしてそれをAIの支援を受けて実現すること。

今のAIの有効な使い方は 

1)Big DataとPrediction AIを相互的に使う事。

2)Massive Cloud AIとEdge AIを5Gでつないで連携させること

・銀行はいずれ一つのGiant AIに置き換えられることになるだろう。

・AMEXがAIを使って不正使用を検知しているのもAIの有効活用の例だ。

AIは人の命を救うことに大いに役だつ。

1)創薬:人類の危機は戦争というよりは生物攻撃(新ウイルス)によってもたらされる。新型ウイルスに対するワクチンの開発の迅速化をAIが支援する。

2)健康管理:AIによって心筋梗塞の発生を14日前に99%の確度で予測できるようになった。これで人は心筋梗塞で死ななくなる。癌の発生もAIで早期検知できるようになるだろう。

3)交通:AIによる自動運転の方が人の運転より安全であることは間もなく実証される。それによって交通事故死を大幅に減少させられる。

TAXIや配送カートをデジタルのレール(データとAIで管理された自動運転車の通路)の上を走らせることも行われるだろう。

こういったことの実現を目指している企業の紹介が②で行われた。それは別ブログにまとめることにしよう。

 

スペイン旅行記(4) コルドバとセビリア  メスキータでイスラムとカトリックが混じり合った文化を味わう。

2018年5月28日、マドリードからスペイン新幹線AVEに乗ってコルドバへ向かった。

バスに乗り換えて旧市街に向かい、グアダルキビル川の向こう側に古都の風景が見えた時は「おおっ」という感じがした。

コルドバ

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コルドバの町

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ローマ橋

ローマ橋を徒歩で渡って旧市街に入る。今の橋は1572年に出来たもので、2008年に修復されているそうだ。なんだか、古代ローマの時代からある橋を渡って、中世にタイムスリップするような気分になる。

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ローマ橋を渡ったところ

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町の中に入っていく。馬車がいる

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コルドバ観光の主役、メスキータ(のミナレット=塔)が見えて来た。

メスキータとはスペイン語で、イスラム教のモスクのこと。

イスラムウマイヤ朝の王様(アッラフマーン1世)が、ゲルマンの西ゴート王国であったコルドバを征服した時に、もともと古代ローマの戦勝祈願神殿があった場所にゲルマン人が建てたキリスト教の聖ビサンテ教会があり、その場所に建てたモスク(788年)がこのメスキータの始まり(聖ビサンテ教会の遺構も残っているらしい)。

その後、12世紀にレコンキスタで、コルドバカスティーリャ王国になると、このモスクはカトリック教会に転用され始め、「聖マリア大聖堂」(1146年)となった。

そして、16世紀に、スペイン王カルロス1世(神聖ローマ皇帝としてはカルロス5世)がそのモスク中央部にゴシック様式ルネサンス様式の折衷の教会堂を建設し、今あるイスラム建築とカトリック教会のハイブリッドな場所となったそうだ(ウィキペディアなどから引用)。

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メスキータの象徴「円柱の森」

850本の紅白のアーチ(バシリカ式)が延々と続くイスラム的空間。

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イスラム教時代の聖なる場所(ミフラーブ)。

祈りをささげるメッカの方向を示しているそうだ。周りの青地のところにコーランが書いてある。極めて美しい空間。聖像のないイスラム教では空間が聖なる場所になるのだろうか。

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イスラム風の模様

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イスラム建築とカトリック聖像のハイブリッドに見える。

聖像の真ん中はイエスを抱くマリアなんだろうか。

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ここはもうカトリックの世界だなあ

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カトリック的なドーム

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カトリックのマヨ―ル礼拝堂

ここで毎日カトリックの礼拝が行われているそうだ。

メスキータを後にして、「花の小径」と言われるユダヤ人街を観光した。その写真をいくつかあげておこう。

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ミナレットが見える

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ユダヤ風のお土産屋

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花がきれい

セビリア

翌日はセビリア観光。みどころは世界で3番目に大きいと言われるセビリア大聖堂

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セビリア大聖堂

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大聖堂の入り口

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大聖堂の内部

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絢爛豪華たる祭壇

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コロンブスの墓

コロンブスジェノバ人だったのにスペインで埋葬されたんだ。

棺を担いでいるのは、当時スペインを構成していたレオン、カスティーリャ、ナバーラ、アラゴン王国の4人の王だそうだ。

コロンブスのおかげでスペインはアメリカ大陸に大発展できた(インカ帝国を滅ぼした)んだから、それくらいの扱いにはなるという事かな。

これ以外にスペイン広場も観光した。

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スペイン広場

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ここは、1929年セビリアで開催された万国博覧会「イベロ・アメリカ博覧会」の会場施設として造られたもの。何だかディズニーランドのような気がしたのはそのためかな。

最後に旅行のスナップをあげておこう。

【スペイン新幹線AVE】

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コルドバに着いたところ

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車内の様子

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車内の軽食

コルドバのランチ】

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コルドバのレストラン

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アンダルシア風チキン

セビリアのディナー】

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セビリアのレストラン

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オードブル

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有名なポーク料理

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セビリアのフラメンコの劇場

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フラメンコの様子

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セビリア近郊のひまわり畑(油採取用)

 ♯コルドバ #セビリア #メスキータ #セビリア大聖堂 #フラメンコ #スペイン新幹線 #AVE 

スペイン旅行記(3) マドリードとトレド  マドリードは名画の宝庫、古都トレドは町全体が博物館のような世界遺産だ。

2018年5月26日にフランクフルト経由でマドリードに入った。その翌日のマドリード、トレドの観光をまとめてみた。

マドリードと言えば、プラド美術館

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プラド美術館

ゴヤ銅像も立っている。

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ゴヤ銅像

プラド美術館は、歴代のスペイン王家のコレクションを展示する美術館。言うまでもなく、ベラスケス「ラス・メニーナス」(1656年)やゴヤの「カルロス4世の家族」(1801年)など、名画の宝庫。スペインの画家だけでなく、ティントレットやティツィアーノなどのヴェネティア・ルネサンス画家の作品もある。

スペインの美術館は館内写真撮影が禁止なのが少し残念。

ラス・メニーナス」は遠近法で描かれているので、見る角度を変えると絵の見え方が変わるというのを実感できた。お土産で買った絵葉書を撮った写真をあげておこう。

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ベラスケス「ラス・メニーナス」(1656年)

真ん中は有名マルガリータ王女。左端の画家はベラスケス自身なんだそうだ。

次はゴヤの「カルロス4世の家族」。

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ゴヤの「カルロス4世の家族」(1801年)

王様を暗愚に、王女を意地悪そうに描いてるところがなんとも凄い(これには様々な見方があるようだ)。私には、こんな描き方をすればそのせいでせっかく得た宮廷画家の地位を失うのではないかと思ってしまう(そうはならなかったようだけれど)。でも、自分の見たものを内面を含めてそのまま描いていることに感銘する。左端の奥の方に自画像をいれているのもなんともいえない感じだ。これはベラスケスが「ラス・メニーナス」の左端の方に、絵を描いている自分を入れているのを倣ったとする説もあるようだ。

ゴヤの思いは、ゴヤの作品だけを飾った「ゴヤの部屋」に入るとありありと感じる。黒い絵の一群が展示されているのだが、その中の「我が子を食らうサトゥルヌス」の不気味さと言ったらない。さらに、「1808年5月3日、プリンシペ・ピオの丘での銃殺 」(1814年)のメッセージ性が強く印象に残った。描きたいものを描きたいように描くゴヤの真骨頂を見たような気がした。

次はティントレット。

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ティントレット「使徒の足を洗うキリスト」(1547年)

この絵は横幅5.3メートル、縦2.1メートルという巨大なもの。さすが、世界一巨大な油絵である「天国」をヴェネティアのドゥカーレ宮殿に描いたティントレットだけのことはある。

この絵も遠近法で描かれているので見る角度を変えると違う画に見える。

この絵の場面は、イエスの最後の晩餐に12人の使徒が集まった時に、イエス使徒たちの足を洗ったという、ヨハネ福音書の一場面を描いたもの。真ん中にあるのが最後の晩餐のテーブル。奥に見える風景にはゴンドラが描かれているので場所の設定はヴェネティアになっている。後ろの方の柱の陰に隠れているのがユダ。

この絵の特筆すべきところはイエスが真ん中ではなく、右端に描かれていること。つまり、単純な賛美的な宗教画ではないというところが心に残る。

次に、ソフィア王妃芸術センターにやってきた。

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ソフィア王妃芸術センター

ここは言わずとしれた、ピカソの「ゲルニカ」があるところ。

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ピカソの「ゲルニカ」1937年

たしか、本物と複製が展示されていて、どうも本物を見た感が乏しかったなあ。東京駅のオアゾで「ゲルニカ」の陶板製のレプリカをよく眺めていたこともあったかもしれない。

ここで一番印象に残ったのは、実はダリのこの絵。

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The Great Masturbator 1929年 110cm x 150cm    Wikipedia

とても有名で、いろいろな解釈がなされている絵だけれど、私にはちょっと違うものが見えてしまって、なんだかドキドキしてしまった。1.5メートルの幅の絵を真近で見るとなんだか圧倒される感じで、妄想がどんどん湧いてくる凄い絵だったなあ。やはり、絵は本物を見ないと伝わってこないものがある。

トレドに行く前に、マドリードのスナップ写真をいくつかあげておこう。

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マドリード王宮

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スペイン広場にある、ドン・キホーテサンチョ・パンサの像。後ろの像はセルバンデス

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マドリードのカフェの様子

さあ、トレドにやってきた。

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トレドの町(1)

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トレドの町(2)

何の予備知識もなく、観光気分でやってきたが、タホ川の対岸から見たこの眺めにびっくり。まるで中世にタイムスリップしたかのようだ。

ウィキペディアで調べると、トレドは古代ローマの時代から町であったが、6世紀にはゲルマンの西ゴート王国になり、711年にはイスラムウマイヤ朝に征服された。その後カトリックのカスティーリア王国になり、レコンキスタで中心的な役割を果たしたとある。

城塞都市としての名残りが感じられる。

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なにか要塞ぽい感じがする。

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橋を渡るところ(車窓から)。川と橋で町を守るのが基本だな。

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城壁だろう

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城門と思われる

旧市街の様子

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旧市街を歩く

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地区の教会だろうか。何か印象深い

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トレド大聖堂が見えて来た

トレド大聖堂に着いた。トレド大聖堂は、1226年に建設が始まり、1493年に完成したという歴史的な建物で、スペイン・カトリック大司教座のある重要な教会だ。

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トレド大聖堂

ゴシック様式の聖堂内部を見学する。スペイン風のテイストが混じっているそうだ。

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トランスパレンテと呼ばれる透かしが施された祭壇衝立。見事だ

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天井のフレスコ画と柱の彫刻が見事

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トレドの守護神である白いマリア像。抱いているのはイエスだろう。

とても愛を感じる像で、ずっと眺めていた。

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椅子の木彫りがとても精密

これはレコンキスタ終結したグラナダ戦争を描いているとのこと。

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これは何かお祭りで担ぐ神輿のようなものだと説明を受けた。

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エル・グレコ 「聖衣剥奪」1579年

エル・グレコはここトレドの生まれで、トレドにはエル・グレコ美術館がある。この絵は教会からの依頼を受けて描いたものだが、イエスより上に人を描いたことと、画面左下に聖母マリアマグダラのマリア小ヤコブの母を描いたことが異端的で、教会からは不評であったという。その結果報酬を値切られたので訴訟になったとウィキペディアは言っている。なかなか面白いエルグレコの逸話だと思った。

トレドに行って、中世に思いを馳せたいい一日だった。

 

 

#スペイン #マドリード #トレド #プラド美術館 #ソフィア王妃芸術センター #ベラスケス #ゴヤ #ピカソ #ダリ #トレド大聖堂 #レコンキスタ #エル・グレコ

 

 

スペイン旅行記(2) グラナダ 「アルハンブラ宮殿の思い出」 パラドールがとっても素敵だった。

クラシックギタリストとしては、アルハンブラ宮殿に一度は行かねばならないと思っていた。

2018年5月29日の夕方にグラナダに入った。観光バスから送迎のバンに乗り換え、かなり丘を登っていって、パラドール・デ・グラナダに到着した。

【パラドール・デ・グラナダ

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パラドール・デ・グラナダ

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外庭の様子

アルハンブラ宮殿の訪問は今回のスペイン旅行のメインイベントのひとつ。思い出作りに、アルハンブラ宮殿の敷地内にあるパラドールに泊まることにした。一目見るだけで心がときめく。想像以上に素晴らしい雰囲気だ。

庭園に繋がっているテラスに出て、夕暮れ時の心地よいそよ風に吹かれながら、眼前に広がるグラナダの市街をながめているのはとても心地よい。

1492年、グラナダを陥落させ、レコンキスタを成し遂げたイザベル女王は、このイスラムナスル朝の宮殿であった場所からどんな思いで当時のグラナダの街を眺めたのだろうと思いを馳せる。

そういえば、1492年はイザベル女王がジェノヴァ人のコロンブスと契約した年でもあったな。コロンブスの後、ピサロ、コルテス達がアメリカ大陸に渡り、インカ帝国を「銃・病原菌・鉄」(+聖書)で滅ぼし(1572年)、スペインは絶頂期を迎えるが、1588年にスペイン無敵艦隊がイギリスとオランダの連合軍に敗れたころから、覇権はイギリスに移っていき、オランダもアジアに勢力を広げていく。

背景に、宗教や王権と豪商たちとの複雑なからみあいはあるものの、東インド会社(1602年)が設立され、リスクビジネスに分散投資がなされ、他人が働いた成果である大きな儲けの分け前を投資家が得、それを再投資することでビジネスが発展し、ヴェネチア共和国が支配していた東地中海経由の東方貿易を、イギリスとオランダが大西洋のアフリカ周り航路を行く大型船で駆逐していく100年は歴史の激動期だなあ。

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とても気持ちのいい中庭

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夕暮れの庭園。心地よいそよ風が吹いてる。

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 正面に、イスラム朝の夏の離宮だった、フェネラリフェ宮が見える。

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グラナダの街が見える。

パラドールの建物もイスラム装飾が施された宮殿のようで、異国情緒たっぷりだ。

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イスラム様式の建物の内部

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出入り口

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礼拝室。キリスト教になった証

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建物内部の階段の踊り場

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イザベル女王の肖像画が廊下に飾られている。

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ウンべルト・エーコも来たんだ(その時の写真が飾ってある)。

レストランでの食事も楽しかった。

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オードブル

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スペインならではの茄子料理(肉詰めだったかなあ)

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オシャレなデザート

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朝ごはん

ハモンはもちろん、ジュースが美味しかった。チュロスがあるのがいかにもスペインだな。

アルハンブラ宮殿

翌日は、朝からアルハンブラ宮殿を訪れる。

カトリックの宮殿と違い、絵や彫刻はなく、イスラム装飾の施された建物と空間を味わうことになる。

メスアール宮の入り口

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メスアール宮の入り口 

繊細なアラベスクと美しい青(ラピスラズリなんだろうか)に目を見張る。

二姉妹の間

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二姉妹の間

解説によれば、この部屋は、イスラム教の預言者ムハンマドが弾圧から逃れて籠った洞窟を表して造られたもので、八角形の天井は、預言者を追手から守った巨大な蜘蛛の巣を表し、5416個もの鍾乳石飾りが緻密な計算によって施されているそうだ。これは「ムカルナス」と呼ばれるイスラム建築特有のデザインで、繊細かつ精密な技巧は宮殿随一なんだそうだ。

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天井部分

大使の間

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大使の間

解説によれば、王が使節に謁見する大広間。天井は寄木細工で満天の星空をイメージして創られている。平面すべてに漆喰のアラベスク模様が施されている。

明るい外からやって来た使節はうす暗い大広間に入ると目がくらみ、後ろと前の光で王が光輝いて見える仕組みだった。この部屋でコロンブスがイサベル女王から宝石箱を受け取ったとも言われているそうだ。

これ以外に見事なアラベスク模様の装飾の写真をいくつかあげておこう。

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アラヤネスの中庭に出る。アルハンブラ宮殿の中で最も有名なフォトスポット。

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アラヤネスの中庭。

手前の池に建物の影が映っているのがいい感じだ。

ライオン宮にやってきた。

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ライオン宮とライオンの中庭

ライオン宮の2階は王のハーレムだったところ。中庭の真ん中にライオンの噴水がある。

ライオンの噴水

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ライオンの噴水

ギタリストとして、これが最も見たかった。

大昔に見たTV番組で、「アルハンブラ宮殿の思い出(1896年)」を作曲したフランシスコ・タルレガが、アルハンブラ宮殿を訪れた時に、このライオンの噴水から滴る水の音に、あの有名なトレモロで奏でられる美しいメロディの着想を得た、と言っていた(と今でも思い込んでいる)ことが40年近く頭に残っていたので。

実際にライオンに対面するも、水が出ていないので イメージが湧かない。ちょっと期待と違ったかなあ。昔は1時間ごとにライオンが順番に水を吐く水時計になっていたそうだ。

大昔に見たTV番組とは、多分1978年頃のNHKの名曲アルバムで、当時のイケメン人気ギタリストの庄村清志氏が、アルハンブラ宮殿の映像をバックに「アルハンブラ宮殿の思い出」を奏でていて、それに重ねる形で、前述の説明文がテロップとして流れていたように思うが、確証はない。その番組の影響もあって、「アルハンブラ宮殿の思い出」は結構真面目に練習して何とか弾けるようになったんだな。

YouTubeでもないかなあ、と思ってさがしたらこんなのがあった。

www.youtube.com

ペペ・ロメロの演奏。水を吐いているライオンも出てくる。今聴くと、噴水の水滴の音はトレモロの細かいメロディーラインというよりは、ベースラインに聴こえるんじゃないかと思える。

トレモロのメロディーと、コードの分散和音と2声のコーラスパートを合わせたような美しいベースラインをしっかり調和させて弾くのがこの曲の醍醐味ですね。

ライオンが12頭いるのは12時間を示す時計であるためだという事だが、1オクターブは半音12個に分割できる。そんな風に噴水で音楽を奏でたら楽しいのに、とも思ったな。

 

【フェネラリフェ宮】

 5分ほど歩いてフェネラリフェ宮にやってきた。

ここにも人気のフォトジェニックなスポットがある。

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アセキアの中庭

池の長さは50メートルあるとのこと。

これ以外の美しいスポットの写真をあげてこう。夏の離宮らしく明るく開放的な雰囲気が素晴らしい。

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外の眺めも素晴らしい。

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フェネラリフェ宮から眺めたアルハンブラ宮殿

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グラナダの街並

【カルロス5世(1500-1558年)の宮殿】

アルハンブラ宮殿の隣にある。なんだか古代ローマコロッセオみたいに見える。

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カルロス5世とは神聖ローマ帝国皇帝としての名前で、スペインではカルロス1世になる。当時のスペインは全盛期と言える時期ではあたっだろうが、スペインは王様の出自により、神聖ローマ帝国の一部のようなものだったんだな。

この建物は、夏には毎年「グラナダ国際音楽舞踊祭」の舞台となるそうだ。素晴らしい音響効果が得られるということで、各種コンサート会場としても利用されているとのこと(歌ってみればよかったな)。

アルハンブラ宮殿を堪能した後は、バスで移動。白い街として有名なミハスに立ち寄った後、マラガ空港からバルセロナに向かった。

最後に、フォトジェニックな町として有名なミハスの写真をあげておこう。

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ミハスの街並み

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ミハスの町

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展望台からの眺め

ミハスの海(地中海の中のアルボラン海)の対岸はアフリカ、モロッコ。100km程度の距離なので天気が良ければアフリカ大陸が見えるそうだ。なんだか雄大な気分になる。ミハスから西に100kmぐらいいくと、ジブラルタル海峡に着く。行ってみたかったな。

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町中にあるピカソの像

ピカソはミハスの隣町のマラガの生まれ。そのせいか、街角の方々にピカソの粘土作りと思われる像があった。ミハスに小さなピカソ美術館があるそうだ。

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ネスレの宣伝ポスター

ネスレのポスターになんとフェルメールの「牛乳を注ぐ女」が。窓まで描かれているのがいいね。

 

アルハンブラ宮殿 #フェネラリフェ宮 #グラナダ #ミハス #イザベル女王 #パラドール #アルハンブラ宮殿の思い出

 

 

スペイン旅行記(1)バルセロナ アントニオ・ガウディの建築を見て回った一日

2018年5月31日にバルセロナを観光し、アントニオ・ガウディ(1852年 - 1926年)の建築を見て回った。

サグラダ・ファミリア

言わずと知れたガウディの代表作で、1882年の着工以来今も建設が続いている贖罪教会(信者の贖罪のための喜捨=寄附により建設する教会)。2026年に完成予定とされていたが、昨今の新型コロナの影響で喜捨(拝観料も含む)が減り、工事が遅れているとのこと。

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サグラダ・ファミリア

東側の「生誕のファザード」に向かって池のこちら側から撮影したもの。

古いものと新しいものが無理やりくっつけられているなあ、というのが第一印象。工事用クレーンが動いているのが見えるのもちょっとなあ、という感じがする。仕方のないことだけれど。

「生誕のファサード」のある東側から入場する。

生誕のファサードは、太陽がのぼる東側に位置し、中央の「愛徳の門(慈愛の門)」、向かって右側の「信仰の門」、左側の「希望の門」で構成されている。

このファサードはガウディが存命中に着工したもので、この完成のために日本人彫刻家の外尾悦郎氏が石工職人として長年従事してきたのは有名な話ですね。

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生誕のファサード

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生誕のファサード 部分拡大(1)キリストの降誕

キリストの降誕の場面。真ん中のちょっと下、マリアの前にイエスがいるのがわかる(飼い葉桶に入っているのか)。横にいるのはマリアの夫のヨゼフ。上にいる天使が嬉しそうに笑っているのは感動ものだ。ヨセフの後ろにいるのは牛なんだろうか(イエスの生まれた家畜小屋には馬でなく、牛がいたらしい『イザヤ書』1章3節)。左にいるのは東方三博士のおひとりですね。

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生誕のファサード 部分拡大(2)

キリストの降誕の場面の上の、真ん中の上の方の部分は受胎告知の場面を表している。

左上の方でイエスの誕生を祝福して楽器を奏でている天使は外尾悦郎氏が手掛けたものとのこと(全部で15体あるとのこと)。
左の端にいる3人が東方三博士だな。右側の人々は犬を連れているので羊飼いたちだろう。

さて、中に入ってみる。

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中心部。結構高さがある

けっこう天井が高い。現代風のキューポラと思える。そして、その真ん中には十字架にかかるキリストの像がある。かなり斬新に思える。

このキリスト像の周りには、福音書を描いた4人の聖人のアイコンがある。赤い獅子は聖マルコ、緑の牛は聖ルカ、青い鷲は聖ヨハネ、黄い天使は聖マタイを示している(なにか仏教の四天王みたいだな)。

上の写真では聖マルコの赤い獅子と聖ルカの緑の牛のアイコンが見える。

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十字架のキリストの像(拡大)

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天井を見上げるとこんな感じ

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壁面(1) 美しい

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壁面(2)

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壁面(3)

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ステンドグラスがきれい

ステンドグラスをじっくり鑑賞する。朝方、夕方など時間によって太陽の光の入る方が変わるので、きれいに見えるステンドグラスが移り変わっていくそうだ。

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地下の礼拝堂

地下の礼拝堂にはガウディが埋葬されているそうだ。 

エレベーターで塔の上まで昇る。そして螺旋階段を降りながら周りの景色と建物の様子を楽しんでみる。

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螺旋階段

サグラダ・ファミリアの螺旋階段は、「ダヴィンチ・コード」のダン・ブラウンの最新作「オリジン」でラングドン教授が大活躍するところ。「オリジン」の映画化の話はまだ聞かないが、トム・ハンクスがラングドンをやるとすると、結構きついシーンになるなあ。そんなことを思いつつ下っていく。

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景色(1)と人物像

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景色(2)と装飾

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景色(3)と不思議な装飾

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景色(4)と不思議な装飾

では、最後に日の沈む西側にある、受難のファサードを鑑賞しよう。

受難のファサードは、 カタルーニャ出身の彫刻家Josep M. Subirachs(ジョセップ マリア スビラックス)の指揮により完工したものだそうだ。

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受難のファサード(全体)

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受難のファサード(正面)

このファサードの彫刻は、最期の晩餐から、ユダの裏切り、キリストの磔刑、十字架降架までの13の場面を経て、キリストの昇天に至るまでの14の場面を表現しているとのこと。

【参考】  https://aoitrip.jp/facana-de-la-passio

なにか「生誕のファサード」と比べて、寂しい感じだが、これで完成している(現代風彫刻という事か)。

受難のファサード(正面)の写真の真ん中上、三角形の頂点の下のところがキリストの磔刑の場面。

その真下には、十字架を担ぐキリストと、キリストを哀れんだヴェロニカが身に纏うヴェールをキリストに差し出し、それでキリストの額を拭ったら、ヴェールにキリストの顔が浮かび上がる場面が描かれている(真ん中の顔はキリストの顔)。ヴエロニカの顔は何も彫られていない。

昇天したキリストは、実はかなり上にいる。受難のファザード(全体)の写真で小さく写っている。上から3分の1ぐらいのところに、2つの塔をつなぐ渡り廊下のようなものがあるが、そこに座っておられる。

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昇天したキリスト(上の像)

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キリストにキスをするユダ

このキスをする2人はユダとキリスト。キリストを裏切るユダは、キリストを捕まえに来た兵士たちがキリストの顔を知らないので、ユダが「自分がキスをする相手がキリストだ」と伝えていたことに由来する。兵士たちはこの2人の像の左側にいる。

この2つの像の間に合計が33になる魔法陣が描かれている。これは、キリストが昇天した年が33歳だったことに由来しているという説がある。

実はこの魔法陣は扉にも刻まれている。

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扉に刻まれた魔法陣

残念ながら何が書いてあるのかはわからない。

もう一つ「栄光のファサード」というのが建設中だとのことだが、覆いがかぶされているのか、どこにあるのかはわからなかった。

お土産ショップでTシャツなどを買って、カサ・ミラに向かった。

 

カサ・ミラ

 サグラダ・ファミリアから徒歩で向かった。

カサ・ミラはガウディが、実業家ミラ氏の邸宅として、1906年(ガウディ54歳)に設計し、1910年に完成させたもの。現在でも居住者が住んでいたり(家賃は当時と変わらない契約があって15万円だそうだ)、事務所として使われている部分もある。それ以外の博物館となっているところを見学する。

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カサ・ミラ 車窓(フィルタ付き)からの撮影なので色が不自然

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カサ・ミラ  路上から撮影

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一階の通用出入り口

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1階の階段部分。これを上がるとどっかの事務所になっていた記憶がある

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中庭から見上げた写真 (6階建て)

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居室らしい展示

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これは寝室だろうか

屋根裏に上がる。

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屋根裏の通路(今は通れない)。 昔は洗濯物の干し場だったそうだ

「オリジン」でラングドンたちはこの通路を通ったと思うが、観光客は侵入禁止になっている。

屋根裏は博物館のようで、建物の模型や、ガウディの設計と思われる椅子が展示されている。

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全体の設計モデルが展示されている

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椅子の展示

驚いたのは屋上に上がった時だった。

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カサ・ミラの屋上 ガーディアン(守護神)がいっぱい

煙突に見えるが(実際に煙突の機能があるらしい)、これは、この家を守るガーディアン(守護神)達だそうだ。なんだかラピュタのロボット兵を思い出す。色がそうかなあ。もちろんこちらが本家。

ガウディらしい曲線の世界に浸って、異国に来たような気がする。床が波打っているので、上り下りが結構大変。

ガーディアンの説明文もある。煙突と誤解するなと書いてある。満月に生き返る巨人もいるそうだ。ファンタジーが素敵だ。

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ガーディアンの説明文

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全体はこんな感じ

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遠くにサグラダ・ファミリアが見える景色も楽しめる

 

カサ・バトリョ

さらに歩いてカサ・バトリョに来た。

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カサ・バトリョ(中央) バスの車窓(フィルタ付き)から撮影(色が不自然) 

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カサ・バトリョ  路上から撮影

 カサ・バトリョは、1877年に建設されていた、大繊維業者のバトリョ氏の邸宅をガウディが1904年から1906年にかけて改築したもの。この改築でガウディは、階段や内壁を作り直し、各部屋に曲線的なデザインを持ち込んで、タイルやステンドグラスの装飾を施したとのこと(ウィキペディアより)。

では中を見て行こう。

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窓の曲線とステンドグラス。 シャンデリアも素敵だ

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ステンドグラスを通してみる外の風景もいい感じだ

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バステル調の色彩での装飾

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内部の壁面の装飾

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ガウディらしい曲線の階段

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階段との境の壁も流れるような曲線のデザイン

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テラスに出られる

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テラスから建物の内側を眺める

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屋上の様子

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屋上にある「球根の上の十字架」

色彩と曲線がマッチしていて、こんな家に住みたいなあという気持ちになった。

グエル公園

最後にグエル公園の写真をいくつかあげておこう。

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グエル公園 中心部 (真ん中にトカゲ)その先に展望広場

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有名なトカゲ

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展望広場の壁面 ガウディらしい曲線と色彩が楽しい

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展望広場の床面の下部 装飾されている

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門衛の小屋と東屋(土産物ショップになっていたような記憶がある)

サルバドール・ダリはこの小屋と東屋を見て、「砂糖をまぶしたタルト菓子のようだ」と評したそうだ(ウィキペディア)。

【まとめ】

ここにあげた四カ所は全部世界遺産になってる。ガウディの曲線と豊かな色彩に溢れた世界を楽しめたいい一日だった。

 

#ガウディ #バルセロナ #世界遺産 #サグラダ・ファミリア #カサ・ミラ #カサ・バトリョ #グエル公園