映画「ピカソがピカソになるまで」を観て思ったこと
現代絵画を切り拓いた絵と位置付けられる、ピカソの「アヴィニオン娘たち」(1907年)は、バルセロナのアヴィニオン通りにあって、ピカソが通っていた、売春宿の5人の娘を、2.4メートルの大きなキャンバスに描いたもの。それを所蔵しているMoMA(Museum of Modern Art, in New York)のキュレータが、その意義を丁寧に説明してくれる。だけど、そのキュレータ氏いわく、「(ロマン派の)アングルやドラクロアが好きならばそれでいいのです」と。
なんだか同意してしまう。
モダン=理屈=難解。つまり、わかる人だけわかればいい、という変な選民意識に行ってしまうと、楽しくないんだよね。私は、Early Modern(近代)の方がしっくりくる。絵(ゴーギャン、セザンヌ)でも音楽(ドビュッシー、サティ)でも。
一方で、ピカソの「青の時代」の絵(1901-1904年)はズーンと心に届く。その背景が理解できた。
ピカソの画風は付き合う女性が変わる毎に変わっていったというのは有名な話ではあるけれど、「安楽椅子のオルガ」(1917年)の絵が紹介される程度で、そこの深堀がもっと欲しかったな。